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マリオ・ブルネロ 無伴奏チェロ・リサイタル

マリオ・ブルネロ

本公演は終了しました

2014年11月12日(水) 19:15開演

【全席指定】 会員 S席4,500円・A席3,600円 一般 S席5,000円・A席4,000円
*U-23席(23歳以下)2,500円
*中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。
託児サービス 500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで)
*未就学児は入場できません。
【出 演】 マリオ・ブルネロ
【曲 目】 テレマン:チェロ・ソナタ ニ長調 TWV40:1
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV1009
イザイ:無伴奏チェロ・ソナタ ハ短調 op.28
ヴァインベルク:無伴奏チェロ・ソナタ第1番 op.72
ピアソラ:コントラバヒッシモ(チェロとループ・エフェクター*1による多重演奏)

2012年7月に開催した無伴奏プログラムのリサイタルでは、バッハと現代音楽を組み合わせ、さらにはアンコールでアルメニア民謡までを取り込むなど、チェロの楽器としての可能性を更に押し広げた斬新なプログラムで賞讃の拍手が鳴りやまなかったイタリアのチェリスト、マリオ・ブルネロ。再演を望む多くの声にお応えして、風のホールでの二度目のリサイタルが決まりました。

今回取り上げられるのは、2013年にブルネロが取り組んだ、無伴奏の新しいプログラム、「SOLO CELLO AND...」です。風のホールでぜひ演奏したい、とご提案いただきました。アイディアの豊富なマエストロならではの新しいプログラムをここ、風のホールでご紹介できることをとても嬉しく思います。このプログラムは「作品の中に内包された声」、「忘れ去られた声」をテーマに選曲されています。ドイツのバロック音楽を代表するバッハ、テレマン、そしてベルギーが生んだヴァイオリンの巨匠イザイ、ポーランド系ユダヤ人の作曲家ヴァインベルクの無伴奏作品に続き、プログラムの最後に、ブルネロが自身の演奏によるループをiPadで再生させながら弾くピアソラの「コントラバヒッシモ」のチェロ版が据えられています。

バロック時代から過酷な歴史を生きたヴァインベルク、タンゴの革命家ピアソラに至るまでの400年に渡る時空を超える音楽の旅。ブルネロ愛用のチェロ「マッジーニ」*2 の多彩な音色でお楽しみください。

*1 ループ・エフェクター:あるフレーズを繰り返して、そこに新たに音を重ねながら作曲する際に使われる機材。
  一人で多重録音やセッションをする際にも使われている。
*2 マッジーニ:主に17世紀はじめに北イタリアのブレシアを拠点に活躍した弦楽器製作者、ジョヴァンニ・バオロ・
  マッジーニの作ったチェロ。

 過去のお客様アンケートより

「チェロ1本で多彩な音が心地よく響いていたことに感動しました。」(40代女性)
「バッハと現代音楽という取り合わせが新鮮でした。」(50代女性)
「『弾いている』というより『歌っている』というイメージだった。」(60代女性)

──2012年以来、再びブルネロさんをお招きして演奏していただけることとなり光栄です。風のホールの印象はいかがでしたでしょうか。

ありがとうございます。風のホールで再び演奏することをとても楽しみにしています。風のホールはお客様との距離も非常に近く、親密な空間であるという点でも際立ったホールですね。室内楽のコンサートに最適で魅力的なホールだと思いました。

──2年前のコンサートでは、常に枠に囚われずに音楽を探究する、マエストロの冒険的な精神にお客様は強く関心を持っている様子でした。今回の演奏会は「Solo Cello and...」というタイトルが付けられていますが、このアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか。

私は無伴奏チェロのためのレパートリーを探すのが大好きなんです。想像の翼を羽ばたかせながら、バロックから現代の音楽をチェロの4本の弦で何度も試してみると、ふとテクノロジーの力を借りて演奏してみたくなったんです。弦楽器は異なる動きをする複数のメロディを同時に一人で演奏することはできませんが、電子楽器があればそれも可能になるのです。

──ブルネロさんは今回、ピアソラの作品をループ・エフェクターと一緒に演奏すると伺いました。ループ・エフェクターを使用することで、あるフレーズを繰り返したり、そこに音を重ねながら同時に演奏することが可能になりますが、今回のようにクラシックのコンサートで使われている場面にはまだ遭遇したことがありません。マエストロが400年前のチェロとループ・エフェクターを同期させて演奏するというアイディアに、非常に驚きました。このプログラムはどのように生まれたのでしょうか。

400年の時を経た楽器に現代のテクノロジーを近づけることに興味を惹かれました。ループ・エフェクターは、楽器が奏でるフレーズを録音するものであって、何かを生み出すものではない、ということは常に覚えておかねばなりませんが。特に、今回演奏するピアソラの作品は、もともとは五重奏曲なのですが、同じパターンから成る複数のセグメントで構成されていることから、ループ・エフェクターとの演奏にぴったりです。したがって、私が演奏し録音したこれらのセグメントを生演奏に重ねて同期演奏させることは、難しいことではありませんでした。その背景には、演奏家にはない作曲家であろうとする考えがあるからです。

──今回のプログラムにはテレマンのソナタ、テレマンと同時代に生きたバッハの無伴奏チェロ組曲第3番、チェロ独奏用に編曲されたピアソラの「コントラバヒッシモ」、イザイ、そしてなかなか聴く機会に恵まれないヴァインベルクの作品が並んでいるという、とても魅力的なプログラムですね。これらの曲を選ぶにあたって、どのようなことをお考えになられたのでしょうか。

まず、今回取り上げるテレマンのソナタは、もともとヴィオラ・ダ・ガンバのために書かれていたものです。バッハは恐らくチェロよりもむしろヴィオラ・ダ・ガンバの音を聴く機会の方が多かったのではないかと思いますが、「無伴奏チェロ組曲」を書くことでチェロという楽器の未来に可能性をもたらした、最初の作曲家であると言えるでしょう。イザイは20世紀においてバッハと同じ役割を担いました。1800年代終わり迄にヴァイオリンには優れた無伴奏作品が数多く書かれていましたが、チェロの無伴奏作品は、まだそこまで普及していなかったのです。それから、ほとんど知られていないヴァインベルクの無伴奏チェロ・ソナタを1曲演奏します。彼は無伴奏チェロ・ソナタを4曲書きましたが、いずれも3世紀前にバッハが行った冒険的試みを反映しています。プログラムを締め括るのは、ピアソラの「コントラバヒッシモ」です。声部を加えてチェロという楽器の持つ可能性を明らかにするために、ループ・エフェクターを用いてこの曲を演奏します。これは、テクノロジーがどのようにしてクラシック音楽に入り込んでいくのかを示す、ある種のゲームのようなものです。

──その時代時代で、チェロという楽器に新しい息吹を吹き込んだ作曲家を取り上げ、また現代の作曲家であるピアソラの作品では、ブルネロさん自身が現代のテクノロジーとチェロを同期演奏するという、まさに時代を超えてソロ楽器としてのチェロの魅力を多角的に味わえるプログラムですね。それでは最後に、三鷹のお客様にメッセージをいただけますでしょうか。

私にとって忘れがたい風のホールで再び皆様と一緒に世界で最も美しい楽器、チェロの音楽を探りたい、そう願っています。

(イタリア語によるメール・インタビューおよび翻訳/音楽企画員 大塚真実)

三鷹市芸術文化センター
風のホール

〒181-0012
東京都三鷹市上連雀6-12-14
0422-47-5122 (チケットカウンター)
0422-47-9100 (施設受付・事務局)
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