フライブルク・バロック・オーケストラ
J.S.バッハの現存するヴァイオリン協奏曲を一挙に演奏!
ヴァイオリン独奏、音楽監督:ペトラ・ミュレヤンス
©Marco Borggreve
ヴァイオリン独奏、音楽監督:
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ
©Marco Borggreve
本公演は終了しました
2016年10月23日(日) 15:00開演
【全席指定】 | 会員 S席5,400円・A席4,500円 一般 S席6,000円・A席5,000円 *U-23(23歳以下/S席・A席共通)3,500円 |
* | 中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。 |
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500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。*託児申込の受付は終了いたしました。 |
【出 演】 | フライブルク・バロック・オーケストラ ヴァイオリン独奏、音楽監督 ペトラ・ミュレヤンス ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ |
【曲 目】 | ヴィヴァルディ:歌劇『オリンピアーデ』RV725より序曲 J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041 J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043 ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲イ長調RV158 J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042 J.S.バッハ:3つのヴァイオリンのための協奏曲ニ長調BWV1064R |
ベルリン古楽アカデミー、コンチェルト・ケルンとともに"ドイツ三大古楽オーケストラ"として名高いフライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)は、2012年1月と2014年2月にそれぞれヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)の『管弦楽組曲』、『ブランデンブルク協奏曲』を携え来日。過去2回の三鷹公演は完売し、風のホールの客席を興奮の渦に巻き込みました。
今回は、音楽監督の二人―ペトラ・ミュレヤンスとゴットフリート・フォン・デア・ゴルツがソリストを務め、ヨハン・セバスティアン・バッハの現存するヴァイオリン協奏曲を一挙に演奏します。プログラムの中核を成すのは、バッハが独奏ヴァイオリンのために書いた協奏曲2曲と、2つのヴァイオリンのために書かれた協奏曲、3台のチェンバロのための協奏曲第2番の原曲であったと確実視される協奏曲の計4曲です。あわせてお聴きいただくのは、独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための協奏曲というジャンルを確立し、バッハに多大な影響を与えたヴィヴァルディによる2曲です。バッハは実際に、ヴィヴァルディら先達の作品の筆写譜や編曲作業を通じて彼らの作曲技法を身につけたと言われています。これらが一体となったプログラムを聴くことで、バッハがいかにヴィヴァルディの影響を受けたのか、ということも感じていただけることでしょう。
ミュレヤンスとゴルツをはじめとする名手たちのソリスティックな魅力と心弾む親密なアンサンブル。総勢15名による愉悦に満ちたバッハのコンチェルトに、どうぞご期待ください!

今年10月に3度目の登場となるフライブルク・バロック・オーケストラ(以下、FBO)の
音楽監督でコンサートマスターのペトラ・ミュレヤンスさん(以下、PM)、
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツさん(以下、GG)にメールでインタビューを行いました。
■ヴァイオリンを始められたのはいつですか。また、ピリオド楽器での演奏を始めたきっかけを教えていただけますか。
*1:ニコラウス・アーノンクール(1929–2016年)
現代のクラシック音楽演奏に大きな影響を与えた、ピリオド楽器の古楽演奏のパイオニアとして知られるオーストリア出身の世界的指揮者。古楽演奏集団「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」を創設。
*2:ジョン・エリオット・ガーディナー(1943年–)
イギリス出身の指揮者。モンテヴェルディ合唱団、モンテヴェルディ管弦楽団(後にイングリッシュ・バロック・ソロイスツに改組)等を創設。
PM 私の家族では普通のことでしたが、ヴァイオリンを始めたのは7歳の時です。中学生だった12歳の時に、デュッセルドルフでヘルガ・テーネ教授に師事しました。彼女がピリオド楽器による演奏を私に紹介してくださいました。
GG ヴァイオリンを始めたのは5歳からです。母はピアニスト、父は私と同じヴァイオリニストという音楽一家で育ちました。ピリオド楽器を演奏するということはとても大きな出来事でした。古楽復興運動がニコラウス・アーノンクール*1、ジョン・エリオット・ガーディナー*2といった音楽家たちとともにドイツの至る所で起こり、新しいことを実際に試してみたいと思っていた私たちは、ピリオド楽器のオーケストラを設立したのです。
■フライブルク・バロック・オーケストラのメンバーになられたのはいつですか。
PM FBOができた1987年にメンバーになりました。
GG 私はFBO設立の2年前―1985年から87年の準備期間から関わっていました。
■大きな影響を受けた芸術家または音楽家はいらっしゃいますか。また、プロの演奏家になろうと思われたきっかけを教えていただけますでしょうか。
*3:ダヴィッド・オイストラフ(1908–1974年)
旧ソ連(現ウクライナ)出身、20世紀を代表するヴァイオリニスト。幅広い録音歴があり、数多くの名盤を残したことで知られている。
*4:グスタフ・レオンハルト(1928–2012年)
「現代のバッハ」「孤高の巨匠」とも言われた、ピリオド楽器の古楽演奏のパイオニアでオランダのオルガン奏者、チェンバロ奏者。
PM 十代の頃、私はダヴィッド・オイストラフ*3の大ファンでした。歴史的奏法についてはアーノンクールとグスタフ・レオンハルト*4の影響を受けました。初めてオーケストラで弾いて以来、私はヴァイオリニストになるだろうと確信していました。心の声が聞こえたんです。
GG もちろん、アーノンクールやレオンハルトなどこれまで共演してきたアーティストたちから影響を受けました。私の家族は音楽との関わりが深いことから、自分もいずれプロの音楽家になるのだろうなと思っていました。
■FBOはヤーコプス、エラス=カサドをはじめとする指揮者や演奏家、サシャ・ヴァルツ&ゲスツといったダンスカンパニーとも共演しています。これらの多岐にわたる共演を通じて受ける影響についてはどのようにお考えでしょうか。
PM これらの変化に富んだ共演経験は、私たちの演奏をよりいっそう生き生きと説得力のあるものにさせると考えています。共演アーティストたち、そしてFBOのメンバーそれぞれに強みがあり、それぞれのやり方でその強みを演奏に還元しうるのです。私たちは均質な音楽家集団ではなく、きわめて多様な音楽家集団なのです。
GG FBOは様々な共演者とのコラボレーションを通じて、彼らの多様なニーズに応えるようになりました。そして演奏スタイルの発展や楽団としての個性の成長に関して、共演者からの恩恵を受けてきたと思います。
■バッハのヴァイオリン協奏曲の魅力についてお聞かせください。
PM 独奏ヴァイオリンのために書かれた二つの協奏曲は、それぞれ性格が非常に異なります。ホ長調の作品は鮮やかで、イ短調の方はむしろ合奏協奏曲に近いといえます。あらゆるヴァイオリニストとオーケストラがこのレパートリーをそれぞれ異なるように演奏するので、私たちはこの曲をコンサートやCDで頻繁に聴けます。バッハから”逃れる” 方法(必要)はありません、なぜなら素晴らしい音楽だからです。レコーディングでは一つの解釈に定めるため、その欲求が強くなりましたが。
GG バッハはバロック時代の絶頂期においてあらゆる知識に通じた大家であり、とりわけ鍵盤楽器の卓越した名手でした。私はヴァイオリン協奏曲の演奏を通して、彼の世界の本質を探る楽しみを味わっています。バッハはヴァイオリンの演奏に秀でた才能を持ち合わせていませんでしたが、スコアに書かれたソロパートの複雑な和声、オーケストラ・パートにおけるポリフォニーの密度、そしてすべてのパートの個性は、実に素晴らしいのです。
■フライブルクでのオフの時間はどのように過ごされていますか?
PM ファーマーズマーケットを見て回るのが大好きですね。そこに行き交う人たちを眺めたり、そこで人と会ったりするのも楽しいです。演奏旅行や旅を頻繁にしているので、旅先から帰るとこのフレンドリーな街を満喫しています。
GG オフの時間は家族、妻、子どもたちとともに過ごします。フライブルクは学生の街でもあり、若さあふれる雰囲気を楽しんでいます。
■最後にメッセージをお願いします。
GG 日本のお客様は熱心に聴いてくださり、芸術に深い関心を寄せていらっしゃると感じました。素晴らしいコンサートホールと一体となり、私たちの演奏のためにパーフェクトな状態を作ってくださいます。
PM いつものように情熱的に聴いていただけると嬉しいです!
どうもありがとうございました。10月のコンサートを楽しみにしております。
取材・文:音楽担当 大塚真実