アンドレアス・オッテンザマー クラリネット・リサイタル
クラリネットの声“the voice of the clarinet”
アンドレアス・オッテンザマー
©Lars Borges Mercury Classics
ホセ・ガヤルド(ピアノ)
本公演は終了しました
2016年 5月29日(日) 15:00開演
【全席指定】 | 会員3,600円 一般4,000円 *U-23(23歳以下)3,000円 |
* | 中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。 |
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500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。 |
【出 演】 | アンドレアス・オッテンザマー(クラリネット) ホセ・ガヤルド(ピアノ) |
【曲 目】 | コヴァーチ:リヒャルト・シュトラウスへのオマージュ マーラー:私はこの世に捨てられて~『リュッケルトの詩による5つの歌曲集』 高遠なる知性のお褒めの言葉~『子供の不思議な角笛』 ブラームス:メロディーのように シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ ベートーヴェン:モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』の 「お手をどうぞ」の主題による12の変奏曲 ニーノ・ロータ:ソナタ カヴァッリーニ:アダージョとタランテッラ バッシ:ヴェルディの歌劇『リゴレット』の主題による幻想曲 ※チラシに掲載していた曲目が都合により一部変更になりました。 何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。 |
21歳の若さでベルリン・フィル首席クラリネット奏者に就任したアンドレアス・オッテンザマーによる風のホール初のリサイタルです。父と兄がウィーン・フィルの首席クラリネット奏者という名門一家出身のアンドレアスは、17歳だった2006年以降、ザ・クラリノッツ、ベルリン・フィルハーモニー・ブラームス・アンサンブルとの共演、アンサンブル・ウィーン=ベルリンの公演で風のホールの舞台に立っています。
アンドレアスのクラリネットは、歌心のある幅広い表現力と、ウィーンのクラリネット独特の深みのあるしっとりとした温かな音色が魅力です。また、躍動感溢れる都市ベルリンを彷彿とさせる都会的かつ現代的なセンスも持ち合わせ、ダイナミックなサウンドと舞台上での華のある存在感でも客席を瞬時に魅了しています。
ピアノは、アンドレアスと共に室内楽の音楽祭を手掛けるアルゼンチン出身の名手、ホセ・ガヤルド。丁々発止のやり取りも楽しく、魅惑のステージを展開していくことでしょう。
今回のプログラムは、クラリネットが持つ「声」がテーマで、マーラーやブラームスの歌曲、オペラのアリアや主題をもとに作曲された変奏曲と幻想曲に加え、華やかな技法と表情が盛り込まれたクラリネット曲が組み合わされています。前半で演奏されるマーラーの歌曲集は、アンドレアス自身が選曲したメドレーとのこと! 後半は“クラリネットのパガニーニ”と称されたスカラ座のクラリネット奏者であるカヴァッリーニの作品や、数多くの素晴らしい映画音楽を残したニーノ・ロータのソナタ、クラリネットによる“ 美しい歌”を楽しめる、イタリア人作曲家の作品をお届けします。
2015年には、“ヨーロッパのグラミー賞”とも言われるドイツ・エコー賞も受賞し、ますますその活動から目が離せません。今、最も輝き、才能あふれるクラリネット奏者の一人、アンドレアス・オッテンザマーの“魅せる”演奏をどうぞお聴き逃しなく!
【アンドレアス・オッテンザマーさんよりメッセージ】

まずは、風のホールの印象からお伺いします。
演奏したことのあるホールに再び戻って来られるのは、実に気持ちのいいことです。サウンドチェックの必要もなければ、舞台に不意を突かれることもないですし。ホールのあらゆることに親しみがあるし、くつろげます。特に、風のホールのように素晴らしい音響と雰囲気を備えたホールで定期的に演奏することは本当に嬉しい!僕たちの音楽は演奏、楽器そしてホールの音響、そして迎えてくださるお客様で成り立つのです。これは本当に大切なことです!
今回のリサイタルは、「クラリネットの声」がテーマになっています。数々のインタビューやマスタークラスにおいても、オッテンザマー家の皆さんは“歌うようにクラリネットを演奏することがいかに大切であるか”を常にお話しされていますね。
僕はクラリネットが人の声によく似ている楽器ということにいつも魅了されているんです。例えば、最初の1音が発せられる時、それが歌手によるものなのか、それともクラリネット奏者によるものなのかがわからないことがあるでしょう。その曖昧さから特別な瞬間が生まれるんです。僕にとってそれは魔法のように思えます。また、クラリネットを吹く時の息づかいや空気の流れも、歌手が歌う時に通じるものがありますしね。このことを念頭におくと、器楽奏者は可能な限り自然なフレージングが作れるのです。
実に多彩な曲目で構成されていますね。選曲はどのようになさったのでしょう?
プログラムを組むにあたって、クラリネットで演奏するのに最適な歌曲を探しました。それで、シューベルトやブラームス、マーラーといったオーストリアやドイツの「リート」の作曲家の作品と、イタリアのヴェルディやドニゼッティなどに代表されるベルカント様式で書かれた作品を組み込むことにしたんです。さらに、もともと歌曲ではなくても“カンタービレ*”な性格を持つ器楽曲も加えました。“カンタービレ”はクラリネットの強みの一つでもありますからね。
マーラーの歌曲集はご自身の編曲によるもので、日本ツアーが世界初演となる予定だそうですね!
実は昨年、ウィーンのユニヴァーサル・エディションとの素晴らしいコラボレーションを始めたんです。マーラーの歌曲を選び、それらをクラリネットとピアノのために新たに編曲し、出版するというプロジェクトです。これは僕にとって大きな挑戦でした。オリジナルのスコアと歌詞にじっくり向き合い、それと同時にクラリネットで演奏をするためにベストな方法を見出しました。これらの新しい編曲を一足早く日本ツアーでお届けできるので、ワクワクしています。
共演のホセ・ガヤルドさんについてご紹介いただけますか。
ホセは豊かな感性を持った、素晴らしい音楽家です。演奏を通して多くの刺激を与え、僕に新しいことに挑戦しようという気持ちを起こさせます。出会いは6年前、スイスのビュルゲンシュトック山で行われたコンサートでした。その後間もなく、まさに同じ場所で僕らは音楽祭(ビュルゲンシュトック音楽祭)を一緒にやるようになったんです。
最後に、メッセージをお願いします。
三鷹で再び演奏するのがとても嬉しいです。皆さんも僕たちと一緒に“三鷹での体験 ”をシェアしましょう!
*カンタービレ:イタリア語で「歌うように」という意味
インタビュー・編集・翻訳/音楽担当 大塚真実