シェイクスピア没後400年記念
佐藤俊介&鈴木優人 共同企画
「テンペスト~inspired by THE TEMPEST」
(旧題 21世紀のコンセール・スピリチュエル2016|佐藤俊介&鈴木優人 共同企画 新・音楽劇「テンペスト~THE TEMPEST」)
『テンペスト』から発想される音楽をダンスとともに
[左] 佐藤俊介 ©MarkDaams
[中] 加賀谷香 ©Hiroyasu Daido
[右] 鈴木優人 ©Marco Borggreve

佐藤俊介

鈴木優人

吉田 誠 ©Akira Muto

懸田貴嗣 ©K.Miura

加賀谷香
本公演は終了しました
2016年1月30日(土) 17:00開演・31日(日) 15:00開演
【全席指定】 | 各日 会員4,500円 一般5,000円 *U-23(23歳以下)2,500円 |
* | U-23利用の中学生以上の方は、公演当日に身分証明書をご持参ください。 |
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500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。 |
【出 演】 | 佐藤俊介(ヴァイオリン) 鈴木優人(チェンバロ、オルガン、ピアノ) 加賀谷香(コンテンポラリーダンサー、振付家) 吉田 誠(クラリネット)、懸田貴嗣(チェロ) |
【曲 目】 | モラヴェック:『テンペスト幻想曲』より第1曲「エアリエル」 ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番 ニ短調op.32-1 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調BWV.1004より「ジーグ」 メシアン:『世の終わりのための四重奏曲』より「鳥たちの深遠」(クラリネット独奏) ソレール:ファンダンゴ(チェンバロ独奏) プーランク:クラリネットとピアノのためのソナタ FP184より第2楽章 C.P.E.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ロ短調より第1楽章 パーセル:セミ・オペラ『テンペスト、または魔法の島』Z.631より「そなたを二度と傷つける星はなく」 メシアン:『世の終わりのための四重奏曲』より「イエスの不滅性への賛歌」ほか |
* | ダンスとの共演曲は当日までお楽しみに。 |
【助 成】 | 公益財団法人 朝日新聞文化財団 |
シェイクスピアが最後に残した戯曲「テンペスト」は、魔法や妖精が登場する不思議な世界が繰り広げられています。また、妖精エアリエルの子守唄、ナポリ王アロンゾーの弔いの唄、執事ステファノーが酔っぱらって歌う場面、主人公プロスペローの娘ミランダとナポリ王の息子ファーディナンドとの結婚式を祝して妖精たちが歌う場面など、音楽と関わりのある描写も少なくありません。
この戯曲から想像の翼を広げて、佐藤俊介(ヴァイオリン)と鈴木優人(チェンバロ、ピアノ)が中心となり、上記のような作品を選びました。
バロックとモダン二つのヴァイオリンの名手であり、バロック音楽からロマン派、現代音楽まで幅広いレパートリーを的確なテクニック、豊かな音楽性で聴衆を魅了する佐藤俊介。あらゆる鍵盤楽器に精通し、作曲、指揮、舞台演出など八面
次代を担う4人の演奏家たち、佐藤俊介、鈴木優人、吉田誠(クラリネット)、縣田貴嗣(チェロ)とコンテンポラリーダンスの加賀谷 香がイマジネーション豊かに表現していきます。どうぞご期待ください。

──お二人がそれぞれ専門とする楽器と出会ったのはいつ、どのようなかたちだったでしょうか。
佐藤 母がピアノ弾きであったため家庭の日常には音楽がいつもありました。特にヴァイオリンの音色に興味を示していたらしく、偶然にも近所にヴァイオリン学校があり、2歳でヴァイオリンを始めることになりました。
鈴木 生まれて最初に出会った楽器は、おそらくオランダの家に当時あったチェンバロだろうと思います。その後、日本に帰ってきてからピアノを習い始めました。オルガンを勉強し始めたのはずっと後ですが、父が弾くオルガンの傍らでいつも大きな楽器が震えるのを感じていました。
──お二人の出会いについて教えていただけますでしょうか。また、これまでにも数々の共演を重ねていらっしゃいますが、そのきっかけを教えてください。
佐藤 初めての出会いは2010年ドイツのライプツィヒで、お互いバッハ・コンクールの参加者としての初対面でした。古楽から現代の音楽への興味、ヨーロッパと日本を往復することや二人とも一人っ子であることなど(笑)、 共通点が沢山あるなか友人になり、機会を見つけてはお互い声を掛け合って共演や共同企画をやるようになりました。今ではオランダのデン・ハーグでご近所さんです。
鈴木 出会う以前からお互い名前をよく知っていて、「ああ、やっと会えた!」という感じでした。それ以来、様々なリサイタルでご一緒しています、最近では調布音楽祭でもバッハのソナタを全曲一緒にやりましたね。彼は手堅いレパートリーも安心してできるし、また、共に冒険・チャレンジもできる、私にとって稀有な存在です。
──『21世紀のコンセール・スピリチュエル』の企画のコンセプトについてお聞かせください。
佐藤 3年ほど前に優人さんとアンサンブル・ジェネシスがおやりになった、ラモーの「優雅なインドの国々」の音楽をダンス・映像・ナレーションをと組み合わせた企画が 「コンセール・スピリチュエル」の出発点で、今回の企画のコンセプトは同じく、様々な芸や要素を用いて、あるテーマまたは物語をアブストラクト(抽象的)に、でも分かりやすく楽しくお客さんへ伝えることです。つまり普段コンサート会場やダンス劇場に足を運ぶ習慣があってもなくても、企画の意味合いを理解し楽しんでいただけるようなパフォーマンスになることが目的であります。
鈴木 このタイトル自体は私たちがつけたものではなく、プロデューサーの命名ですが、おそらくバロック時代の創造性を現代に蘇らせたい、という思いが込められているのだと思います。
今回はシェイクスピアという大きな存在に挑みます。彼はこれまでも様々な創造の源となってきました。シェイクスピアが、そして過去の作曲家たちが舞台に巻き起こした旋風を私たちが三鷹で再創造できれば、と思います。
──今回、コンサートのテーマとしてシェイクスピアの『テンペスト』をお選びになったきっかけについて教えていただけますでしょうか。また、現在挙げられている曲も含めて、どのような曲を演奏される予定でいらっしゃいますでしょうか。
佐藤 シェイクスピアの「テンペスト」は素晴らしい作品であることはもちろん、パーセルからシベリウス、そして21世紀の作曲家たちも含む数多くの作曲家がこの劇に基づく曲を書いています。また「テンペスト」の語源には「嵐」の意味があり、嵐をテーマとする作品も非常に多いです。つまり曲の選択の数が多く、幅広くインスピレーションとなる作品を探せることから「テンペスト」に決まったわけです。ただ、今の時点では全てアイディアのままの状態で、曲目・ダンス・ステージに関しては実際に皆さんが揃って相談し合ってから初めて具体化できるものですので(ここがダンスとクラシック音楽の根本的な違いです)、楽しみは実はこれからなのです。
鈴木 今回の題材としてどのシェイクスピアが相応しいかについては、長く議論を重ねてきました。結果として、ストーリーがわかりやすく、既存の音楽作品も多いテンペストが選ばれました。演奏曲予定はメシアンなど既に出ているものに加えて、ベートーヴェンなども良いな、と思っていますが、詳細はまだまだこれからです。
──今回の公演は、コンテンポラリーダンスが重要なファクターとなっていると伺っています。どのようなステージが展開されますでしょうか。
鈴木 ダンスはこの劇作品と音楽ステージをつなぐ存在として、つまりこれが抽象的であっても「シェイクスピアの劇」でありつづけるために重要な存在です。初共演させていただく加賀谷さんとのコラボレーションを楽しみにしています。
──共演するダンサーの加賀谷香さん、クラリネットの吉田誠さん、チェロの懸田貴嗣さんについてご紹介いただけますでしょうか。
加賀谷 香 ©Hiroyasu Daido佐藤 ダンサーの加賀谷さんは、実は推薦された方でまだお会いしていないのですが、音楽家と一緒に舞台をやる企画を何度も経験なさっているダンサーですので、音楽とダンスの結び目を深く理解なさっている方だと思います。色々学ばせていただけると思いますのでとても楽しみです。
クラリネットの吉田さんとは去年知り合い、今年の東京のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でピアノの妻と共演なさったときに初めて演奏を聴きました(当演奏会では私は譜めくり役でした 笑)。人間も演奏もとってもファンタジーがある魅力的な方で、この企画にどんな可能性やアイディアを持ち込んできてくれるかとても楽しみです。
鈴木 懸田さんはバッハ・コレギウム・ジャパンなどでバロックのスペシャリストとして既に活躍されていますが、実に広い知識と興味をお持ちです。アンサンブル・ジェネシス『エウリディーチェの嘆き』などではコンテンポラリー作品もたくさん一緒にやりましたし、NHKで制作した番組では新垣隆さんの作品のソロを見事に弾かれました。最も信頼できるチェリストとして、今回共演、共作をお願いしました。
──最後に、メッセージをお願いします。
鈴木 三鷹は長いこと祖父母が住んでいましたので、非常に思い出のある街です。そこでこのような大きな舞台に関わらせていただくことができ光栄です。この作品がひとりでも多くの方に勇気と希望を与えられるように、と願ってやみません。