小林沙羅&福間洸太朗 デュオ・リサイタル
世界を舞台に飛躍する2人の瑞々しさと情熱が共存する、一夜限りのプログラム
小林沙羅(ソプラノ)
福間洸太朗(ピアノ)
本公演は終了しました
2015年11月19日(木) 19:15開演
【全席指定】 | 会員3,600円 一般4,000円 *U-23(23歳以下)3,000円 |
* | 中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。 |
500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。 |
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【出 演】 | 小林沙羅(ソプラノ) 福間洸太朗(ピアノ) |
【曲 目】 | ヘンデル:オンブラ・マイ・フ(歌劇「セルセ」より) シューベルト:野ばら、中田喜直:さくら横丁 ドヴォルジャーク:月に寄せる歌(歌劇「ルサルカ」より) レオンカヴァッロ:鳥の歌(歌劇「道化師」より) ほか ピアノ独奏:平井康三郎:幻想曲さくらさくら ドビュッシー:月の光 サン=サーンス(ゴドフスキ編曲):白鳥 ほか |
国内外で活躍する若手実力派の小林沙羅(ソプラノ)と福間洸太朗(ピアノ)を風のホールに迎え、バラエティに富んだプログラムと共に、2人の魅力に迫ります。
東京藝術大学在学中より数多くのコンサートやオペラに出演し、現在はウィーンで学びながら、日本を中心に演奏活動を展開しているソプラノ歌手、小林沙羅。その凛とした美しく伸びやかな歌声は、2010年にソリストとして出演したトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズの公演でも大変好評を得ました。
小林にとって都立武蔵高等学校の1年先輩であるピアニスト、福間洸太朗は、パリとベルリンで学び、20歳でアメリカ・クリーヴランド国際ピアノコンクールにおいて日本人初の優勝という輝かしい経歴の持ち主です。ベルリンを拠点に世界五大陸を股にかけ、活発な演奏活動を展開しており、的確なテクニック、感性と知性のバランスのとれた演奏とユニークなプログラミングは、多くの人々を魅了しています。一方で、アイスショーでの生演奏で元フィギュア・スケーターのステファン・ランビエールらと共演もするなど、幅広く活躍しています。
今回、風のホールのためだけに構成されたプログラムは、まさに二人の「今」と「未来」を聴く、豪華な曲目が揃っています。「花鳥風月」をテーマとし、ドイツ、イタリア、日本歌曲に始まり、小林のデビューアルバム『花のしらべ』や、福間の新アルバム『モルダウ 〜水に寄せて歌う』の収録曲もお届けします。
これまで辿ってきた道の先に、それぞれの未来への光がふりそそぐ、幸福感に満ちたコンサートとなるでしょう。ぜひ、ご期待ください。
【出演者インタビュー動画】
※J:COM武蔵野三鷹「MITAKA ARTS NEWS ON TV vol.153」で放映されたものです。YouTube で見る
──お二人は都立武蔵高校に、1年違いで在籍をしていて、高校時代に既に面識がおありだったのですね。
小林 高校では毎年クラス対抗の合唱コンクールがあり、それは結構レベルも高く、とても盛り上がる行事でした。1年生の時、私は合唱部と体操部に籍があったのですが、合唱部の方は部員が4人しかいなくて、活動もできないような状態だったんです。それで、合唱コンクールが終わった時に、そのムードの高まりを継続していきたいと思った先輩たちと一緒に、「音の都」という合唱グループを結成することになりました。そのグループで、文化祭に出演することになり、福間さんにお願いしてピアノを弾いていただいたこともありました。
──福間さんは高校で有名な存在だったのですか?
小林 当時から、ピアノが飛び抜けてお上手で輝いていた存在でした! 私は2年生の時に音楽祭の実行委員長をしたのですが、ダンスなども含めて色々な出し物が順に出て来るもので、会場は通常落ち着きがないのですが、福間さんがステージに登場して一音弾いた途端に、会場全体が水を打ったようにシーンと静まり返って…終わった後の拍手もすごかったことをよく覚えています。
福間 僕も、弾く前には関係ないことを大声で話している人たちもいる中で演奏して、弾き出してから、会場の空気が大きく変わったことはびっくりしました。それは僕の演奏というよりも音楽の力だと思いますが…。
小林 いや、福間さんの音が違ったのだと思います(笑)。
──福間さんは高校時代には、他に何かされていましたか?
福間 走ることが好きで、最初は陸上部にいましたが、ピアノが忙しくなってきてあまり練習は出られなかったですね。それ以外にも、ちょっとヴァイオリンが弾けたので、室内楽部に声をかけられてヴィオラを演奏したり、軽音楽部から声をかけられて、J-POP系の曲のキーボードをやったり、色々やっていました。どれも半分幽霊部員でしたが(笑)。
──小林さんは、バレエを長く習っていらして、女優さんになるのが夢だったそうですね。
小林 バレエは5歳から17歳まで習っていて、日本舞踊も10歳からやっていて、ピアノも習っていて、舞台に上がることが好きでした。小学生くらいから「女優さんになりたいな」と漠然と思っていましたが、歌手になるとは想像していませんでした。でも、今なってみて、オペレッタでは、ダンスも踊りますし、オペラでは和物を演じる時に着物の所作を知っていることなどが活きています。
──福間さんも小さい頃からピアノをやっていたんですよね。
福間 姉二人がピアノを習っており、その影響で5歳から始めました。実は僕のピアノの先生の息子さん達が武蔵高校に行っていて、「自由な校風でいいですよ」と紹介されました。若いうちはピアノばかりをやるのではなく、色々な分野で活躍している人から刺激を受けたほうが、その後のためにいいだろうということで薦めてくださり、私の家族も音楽家がいるわけでもなかったので、それに賛成だったんです。
──小林さんは、ウィーンに行かれて6年目に入りましたが、振り返っていかがですか?
小林 初めは、言葉もオーストリアなまりのドイツ語が聞き取れなくて苦労しました。この5年間に、ウィーンではドイツリートやオラトリオ(宗教曲)を中心にレッスンを受けて、イタリアに毎年行って、オペラ作品や声の発声のことを学んだりしています。ヨーロッパでは、国と国の距離が近いので、色々な国を移動して、その国の空気を感じたりしやすいですね。
ブルガリアのソフィア国立歌劇場の、プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」のラウレッタ役でデビューさせていただいたのですが、その時は、並行して別のオペラの稽古もしており、午前と午後で違う役をやるような生活でハードでした。でも共演者の方たちに恵まれ、日本とは違う環境で色々な経験を積んで、精神的に強くなったと思います。
──福間さんは、高校卒業後にパリ国立高等音楽院へ進まれ、現在はベルリン在住で海外経験が長いですね。
福間 高校の頃に海外の先生の講習を受ける機会があり、それが刺激となり留学への憧れが強くなって、その後、海外でも講習を受けて先生を探すようになり、その結果、各国から才能のある方たちが集まってきている学校ということでフランスのパリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)へ留学しました。本場のヨーロッパで学んでいるという喜びはありましたが、僕もフランス語には当初苦労しました。
パリに4年間いた後にベルリンに拠点を移したんですが、ベルリンは物価が安く、街が広くてスペースがあり緑もあり、僕には肌にあっている気がします。若者がたくさん集まって来て、クリエイティブな雰囲気が漂っておりアーティストも多いですし、聴衆も新しいものを求めていると感じます。僕が取り組んでいるのはバロックや古典もあるのですが、古いものの中でも新しい解釈を加えていければ…と思っています。
声楽や弦楽器などの方々は楽団やオーケストラに入るという形がありますが、ソロのピアニストは基本的に個人で活動しているので、先行きが見えないんです。だから一つ一つの出会いを大切にして、誠心誠意ベストを尽くすということをモットーにしてやっています。今まで、何かのご縁でコンサートの話をいただいたら、それが思わぬ方向に発展したり…出会いに恵まれてきたと思いますね。
──これまでにお二人の共演はありましたか?
福間 宮城県石巻市の湊小学校に、武蔵高校の恩師が震災後サポーターとして行っていらして、そのご縁で招かれて東北大震災後2年目からは小林さんと二人で、毎年秋に訪問しています。
小林 演奏だけではなく、私たちが授業を受け持ったり一緒に授業を受けたりもしています。 地元、東京ではずっとやりたいね、と言いながら二人のスケジュールがなかなか合わなくて…。共演の話を始めてからようやく5年目くらいで、今年初めて実現できることになりました。そして、デュオは三鷹のみでの開催です。
──お二人の演奏の印象はそれぞれどうですか?
小林 とにかく、福間さんは今も昔もキラキラしていています(笑)。指がどうしてこんなに早く動くんだろう、と思いますし、早いだけでなく音のひとつひとつが輝いているという感じでご一緒するのが楽しみです。
福間 小林さんの透き通った、艶やかな歌声に魅了され続けています。また、歌詞を本当に細かく捉えて情感を込め、解釈を深めていらっしゃるのを見ると僕も大変勉強になります。
小林 ソリストのピアニストの方は、歌と一緒にやると難しいこともあるのですが、福間さんはこちらがどういう音楽にしたいか敏感に察知してくださり、とてもやりやすくて安心できます。
──福間さんは、フィギュアスケーターとのコラボレーションも行っていますね。
福間 はい。実は僕、フィギュアスケートが“大”好きなんです。偶然が重なって昨年の12月にスイスでアイスショーに出演させていただき、この上ない喜びでした。安藤美姫さん、鈴木明子さん、ステファン・ランビエールさん(スイス)らと共演させていただいたのですが、彼らは体で音楽を表現するアスリートでありアーティストです。彼らから、音楽の微妙なタイミングやニュアンスなどを、こちらが学ぶこともありますし、僕が意見を言うことで彼らにも新しいアイデアが生まれるという相乗効果もあると思います。今年は金沢と神戸とのアイスショーに出演させていただきます。
──今回のプログラムについてご紹介いただけますか?
小林 福間さんと何度もメールのやり取りをして、1曲1曲選んだものです。昨年、私が花にまつわる曲を集めた「花のしらべ」というファーストアルバムを出させていただき、福間さんは今年の秋に「水」をテーマにした「モルダウ〜水に寄せて歌う」というアルバムを出されるので、「花」と「水」を軸にしてそこから派生して森や鳥、月など自然の美しいものに関する曲を選びました。日本の曲も是非入れたかったので、「さくらさくら」や「さくら横丁」も入っています。ウィーンのオペレッタの曲やドイツ歌曲も交えて、私たちが今まで経験してきた全てのことが生かせるような流れを持ったプログラムができたと思います。
福間 念願叶って、地元の三鷹で小林さんとのデュオコンサートを開催できることが本当に嬉しいです。自然の色々な美しさを感じていただけるプログラムになると思います。