Cucumber+三鷹市芸術文化センター presents
土田英生セレクション vol.3『算段兄弟』
作・演出:土田英生
なぜか可笑しくて、そして、どこか切なくて……。
どこにも無さそうで、けれど、誰もに訪れるかもしれない、
ほんの少しだけ複雑に糸が絡まりあった、家族と兄弟の物語。
本公演は終了しました
2015年 7月31日(金)〜8月9日(日) 全11公演
*上演時間1時間45分【全席自由】 | 【会員】前売2,500円・当日3,000円 【一般】前売3,000円・当日3,500円 【学生】前売2,000円(前売・当日とも) 【高校生以下】1,000円(前売・当日とも) |
☆ | 早期観劇割引 ★平日マチネ割引の公演は、会員・一般のみ各300円引き。 |
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500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。*8/1(土)のみ |
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☆ | 早期観劇割引 ★平日マチネ割引 【託】託児あり |
* | 終演後、アフタートークの予定がございます。開催日などの詳細は決定次第、財団ウェブサイトやツイッターでお知らせします。 |
【出 演】 | 村岡希美(ナイロン100℃)、竹井亮介(親族代表)、本多 力(ヨーロッパ企画)、 もたい陽子、七味まゆ味(柿喰う客)、尾方宣久(MONO)/土田祐太、 渡辺啓太(東京サムライガンズ)、大村わたる(柿喰う客)、 高橋明日香(kitt)、石丸奈菜美 |
『算段兄弟』あらすじ
舞台は山奥にある個人病院。しかし院長が死の床にあり、今は閉鎖されている。
そこに彼の子供たちと、その配偶者が集められるが、院長が結婚、離婚を繰り返したため、皆、母親が違い、そのほとんどは初対面だ。
ぎこちない雰囲気の中、遺産目当ての双子や、初対面である兄や姉に、いきなり「兄ちゃん」「お姉さん」などと話しかけ、そう呼ぶことで急激に家族関係を構築しようとする孤独な三男らの、珍妙な会話が続く......。
vol.1「-初恋」 2010年6月
vol.2「燕のいる駅」 2012年5月
撮影:谷古宇正彦
土田英生セレクションとは
劇作家・演出家の土田英生が、過去に発表した自作をリライト(再創作)し、自身が望んだ俳優・スタッフと舞台を創作する企画。これまでに、三鷹市芸術文化センター星のホールで『―初恋』(2010)、『燕のいる駅』(2012)を上演し、今回が3回目の公演となる。
HP|http://www.c-mono.com/
Twitter|@hideoselection
土田英生プロフィール
1989年に「B級プラクティス」(現MONO)結成。1990年以降全作品の作・演出を担当する。『その鉄塔に男たちはいるという』(1998)で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。文学座『崩れた石垣、のぼる鮭たち』(2001)、MONO『チェーホフを待ちながら』(2009)がそれぞれ文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞。その他、『保育探偵25時〜花咲慎一郎は眠れない!!〜』(TX)、『斉藤さん』シリーズ(NTV)、『約三十の嘘』(映画)などテレビドラマ・映画脚本の執筆も多数。
今回の公演に寄せて、土田英生さんからのメッセージ
土田英生セレクションとして『─初恋』『燕のいる駅』の2作を上演してきた。初演はMONOだった。今回、上演する『算段兄弟』はプロデュース公演として「近松ゴシップ」というタイトルで1999年に初演され、好評をいただいた作品だ。
血縁などに縛られる人々を描いている。素晴らしいキャストと共に、現在に通用する作品としてリメイクする。窮屈な時代になっている今、私たちが何で苦しんでいるのか、それを訴えられる舞台にしたい。
【土田英生セレクションVOL.3『算段兄弟』
土田英生+竹井亮介+もたい陽子 インタビュー】
※映像の下に掲載されているインタビューとは、別のインタビューです。
※J:COM武蔵野三鷹「MITAKA ARTS NEWS ON TV vol.149」で放映されたものです。YouTube で見る
Interview 『算段兄弟』インタビュー
劇作家・演出家の土田英生が、過去に発表した自作をリライト(再創作)し、自身が望んだ俳優と創りあげる「土田英生セレクション」。 その第3回となる『算段兄弟』は、なぜか可笑しくて、そして、どこか切ない、 ほんの少しだけ複雑に糸が絡まりあった、親子と兄弟の物語です。 公演を前に、作・演出の土田英生さん、出演の村岡希美さん、竹井亮介さんに、お話を伺いました。
舞台上での会話は、サッカーで言うところのパス。
流れるように華麗な、会話のパス廻しによって、
チームとして、笑いのシュートを決めたいですね。 -土田英生-
三鷹市芸術文化センターで上演していただいている「土田英生セレクション」は、『―初恋』『燕のいる駅』と続いて3回目となりますが、今回この『算段兄弟』を選ばれた理由を教えてください。
左から竹井亮介さん、村岡希美さん、土田英生さん土田 なんとなくですが、今は世の中が殺伐としてきていて、人と人との間に線を引こうとする傾向が強くなっているような気がするんです。それがとても嫌だなあと感じているんですが、家族の関係性をテーマにした『算段兄弟』は、今の時代だからこそ、その思いをより深く伝えることができる作品なのではないかと思ったのが一番の理由ですね。
もともとは、近松門左衛門作品をモチーフにした舞台をと依頼されて書かれた作品ですよね。
土田 そうなんです。最初は、近松門左衛門の『冥土の飛脚』という作品をモチーフに書き始めたのですが、なかなか筆が進まなくて、お許しをもらって自由に書きたいものを書かせていただいたところ、「チカマツのチの字も無い」作品になってしまいました(笑)。まあ、強引にこじつければ少しくらいはあるかもしれませんが、私には感じられない(笑)。なので、初演時(1999年3月、吹田メイシアター)には『近松ゴシップ』というタイトルで上演したのですが、後に戯曲集におさめた際に『算段兄弟』に変更しました。
村岡さんと竹井さんは、脚本を読まれての感想はいかがですか?
村岡 ご覧になるお客様が、家族のことや友人のことなど、いろんなことを考えながら気持ちを動かされていくお芝居なんじゃないかなと思いながら読み進めました。しかも、ことさら笑わそうとしていないのに、思わず笑ってしまうシーンもたくさんあって、こういうテイストの会話劇を演じるのは久しぶりだなと、嬉しくなりましたね。
竹井 僕は「家族の物語」がとにかく好きなんですが、これまでは自分で演じる機会が少なかったので、まず家族の話であることにワクワクしましたね。
土田 竹井さんのツイッターを拝見すると、家族の話が中心のお芝居を観た後は、必ず「ものすごく感激した文章」がUPされていますよね(笑)。
竹井 弱いんですよ、家族物に(笑)。今回の『算段兄弟』も、土田さん独特の乾いた空気感に満ちた会話劇で、しかも家族の話なので、読めば読むほど気に入りまして、ぜひ出演したいと思いました。
村岡 出演者の誰かだけが目立つんじゃなくて、全員が様々に絡み合って、皆でひとつの舞台を作っていく作品なんだなと思えたのも魅力でしたね。
『算段兄弟』は、生まれてから一度も会ったことの無かった兄弟たちが、父親の臨終の際に、初めて一堂に集められるところから始まる物語ですが、皆さんご兄弟は、いらっしゃいますか?
村岡 姉が二人います。仲はいい方ですね。おそらく我が村岡家においては、この作品のように「どこかに会ったことの無い兄弟がいる」というような、劇的なドラマは無いと思います(笑)。
竹井 僕は一人っ子なんですが、小さい頃に両親が離婚して母親に育てられたので、父親の顔もほとんど覚えてないんです。なので、離婚した後の父の人生は全く知らないのですが、もしかしたら再婚していて、子供がいて……。すなわち、この作品と同じように、会ったことのない兄弟がいるかもという想像をしたことは何度もあります。ちなみに僕の想像では、その兄弟は女の子で、しかも“とびきりかわいい子”のはずなんです(笑)。まあ、想像と言うよりは、妄想ですが(笑)
土田さん、初演時のエピソードがありましたら教えてください。
土田 実はあんまり覚えてないんですが(笑)。ただ、とにかく記憶に残っているのは、時間が無い中で、あまり肩に力を入れずに書いた脚本だったのに、お客さんの反応がすごく良くて、評論家の人とか同業者である演劇人に、ものすごく褒められたんですよ。なので、いい想い出しかないんです(笑)。本当に「なんでそんなに褒められるの?」というくらい反応が良かったので、いつか再演したいと思っていて、今回ようやく実現しました。
その再演にあたり、初顔合わせの村岡さんをキャスティングされた理由は?
土田 村岡さんの舞台は、それこそ十数年前から観ていて、ずっとご一緒したかったんです。とにかく、これだけ淡々とセリフが言えて、しかもコメディがしっかり担える女優さんっていないんですよね。僕自身、ベタなギャグを入れたハートウォーミングなコメディではなく、ポーカーフェイスでちょっとズレたことを言い合うような会話劇を作って来たので、脚本に書かれたセリフを、色を付けずに言える村岡さんには非常に魅力を感じています。
村岡 私も、土田さんが作られたり、役者として出演されている舞台を昔から観ていましたが、「関西のコメディ」とか「関西のコント」というとコテコテのイメージがあったのを見事に覆して、淡々とシニカルに笑いを取っていって、「ああ、こういうのかっこいいなあ」と思っていました。私が所属している劇団「ナイロン100℃」のケラさん(作・演出・主宰のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏)に近い、笑いのセンスの良さを感じていましたね。
竹井さんも、土田さんの舞台には初出演です。
土田 そうなんですけど、ある意味、僕らはどこかで血が繋がっているというか……。というのも、僕が昔、コントユニットで役者として出演していた作品が再演されるとですね、なぜか竹井さんが同じ役を演じることが多くて(笑)。だから、お互い同じセリフを、割と言えるという(笑)。そういうシンパシーはありますね(笑)。
竹井 土田さんの仰った通り、土田さんは演じ手として「お兄さん」ですので(笑)。ずっと「憧れの兄」でした(笑)。MONOの舞台も好きでよく観ていましたし、出演のオファーを貰った時は嬉しかったですね。
土田英生セレクションは今回で3回目となりますが、土田さんの中で、このシリーズはどのような位置を占めていますか?
土田 劇団以外の舞台で、脚本だけ提供したことが何度かあるんですが、その稽古場や劇場に観に行きますとね、ものすごく素敵に仕上がっていても、やっぱり会話のリズムや笑いの取り方が自分とは違うから、観ていて違和感があることが多いんです。演出家が違うのだから当たり前のことでもあるし、もちろん新たな面白さに出会うこともあるのですが、「あっ、今のところ間(ま)が違うなあ」とか「本当は笑いが取れるシーンなのに、もったいないなあ」と思ってしまうことも多くて(笑)。だから、自分の過去の作品を、自分の信頼する役者さんに出演してもらって、自分の演出で舞台化するこのシリーズは本当に嬉しいですし、僕にとって大事ですね。
土田さんが理想とされる舞台とは?
土田 基本的に、舞台上での会話は、サッカーで言うところの「パス」だと思っているんです。早く的確なパス廻しによって、流れの中で華麗にシュートを決められたらと。もちろん、役者個々の良さを出せるところは出していいんですが、誰も彼もが「ボールを持ったらシュート!シュート!」という舞台ではなくて、細かいパス廻しの中で、キャラクターの違いや会話のズレによって生まれる笑いのほうが、逆に役者さんを魅力的に見せることができると思うんです。
それでは最後に、今回の作品に寄せてのメッセージをお願いします。
竹井 役者は、演出家という名の「監督」の考えている試合プランを理解して、ピッチの中で動くものだと思っているので、考え方としては、土田さんの求めていらっしゃるものに近いのかなと思っています。おそらく、ワンタッチでダイレクトに、流れるような早いパス廻しをして、チームとして点を取っていくのが土田さんの理想のサッカーではないかと(笑)
土田 ありがとうございます!そうなんです!(笑)。ボールを止めないで欲しいんです!(笑)。
竹井 なので、そのパス廻しの足を引っ張ることが無いように、本番までしっかり準備して、いい試合になればと思います(笑)。
村岡 今回、このタイミングで、土田さん作・演出の会話劇に出演できることを、とてもラッキーだと思います。初めてご一緒する役者さんが多いのも楽しみですし、チームの中で、いいパスが出せたらと思います(笑)。
土田 取りあえず、このメンバーで、アジアカップ優勝を目指したいと思います(笑)。本当はワールドカップ優勝と言いたいところですが、「お前、何様だ」と言われそうなので、少し謙虚に(笑)。まあ、それは冗談としても、村岡さん、竹井さんを始めとして、実力がしっかりしている上で、チームワークが組めて、パス廻しが出来る人ばかりを集めました。それぞれの個性がパス廻しの中で生き、シュートを打つべきところではしっかり打てる、そんな確信を持てる人ばかりです。やはり、アジアカップは間違いなくいただけるメンバーだと思います(笑)。華麗な会話のパス廻しを、ぜひ、観に来てください。