横山幸雄 ©Masafumi Nakayama
本公演は終了しました
2014年10月1日(水) 19:15開演
【全席指定】 | 会員4,500円 一般5,000円 *U-23(23歳以下)2,500円 *中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。 |
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500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで) *未就学児は入場できません。 |
【出 演】 | 横山幸雄 |
【共 演】 | 矢部達哉(ヴァイオリン) 双紙正哉(ヴァイオリン) 鈴木 学(ヴィオラ) 山本裕康(チェロ) |
【曲 目】 | フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 op.13(ヴァイオリン独奏/ 矢部達哉) フォーレ:ピアノ五重奏曲第2番 ハ短調op.115 |
ピアニスト横山幸雄による風のホールでしか聴くことのできないシリーズ"Voyage"の第8回目と第9回目は、フランスの作曲家、フォーレの作品にスポットを当てます。
第8回はフォーレが生涯に渡って最も多くの作品を残したジャンルの一つである"室内楽曲"をお贈りします。「ヴァイオリン・ソナタ第1番」は彼が30歳の時の作品で、若々しく、美しくも颯爽とした旋律が味わえます。東京都交響楽団のソロ・コンサートマスターを務め、横山氏とは何度も共演を重ねている矢部達哉との共演でお楽しみください。
晩年の代表作のひとつ「ピアノ五重奏曲第2番ハ短調」は、フォーレ特有の旋律の流れの美しさが際立つ作品です。この作品を矢部氏と、東京都交響楽団第2ヴァイオリン首席奏者の双紙正哉、同ヴィオラ ソロ首席奏者の鈴木 学、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席チェロ奏者の山本裕康によるメンバーでお届けします。
名手たちが奏でる、フォーレならではの深みのある旋律を存分に味わえるひととき。どうかお聴き逃しなく!
メッセージ
今回演奏するフォーレの室内楽曲は、フォーレの最晩年に書かれた作品の中でも最高傑作の室内楽曲です。以前、同じメンバーでこの作品に取り組んだ経験があり、一致した見解を持っていて、それ以来の再演となります。もう一度、あの素晴らしい音楽を一緒に創ることができることに僕自身が幸せを感じています。
それぞれ忙しく、なかなかスケジュールを揃えるのが難しいメンバーですので、三鷹のシリーズでこのような機会に恵まれたことが更に喜ばしく、嬉しく思っています。
【横山幸雄さん&矢部達哉さんインタビュー動画】
※J:COMチャンネル武蔵野・三鷹(11ch)「MITAKA ARTS NEWS ON TV vol.129」で放映されたものです。YouTube で見る

この秋で8回目を迎える横山幸雄ピアノ・リサイタル・シリーズ。今年度は今年が没後90年で来年が生誕170年を迎えるガブリエル・フォーレをテーマにしたコンサートを2回開催します。この度、横山幸雄さんと、旧知の仲であり第8回の共演者でもある矢部達哉さんにお話を伺いました。
──フォーレという作曲家について、少しご説明いただけますでしょうか。
横山 Voyageというシリーズでは“ショパン”と“ショパンに影響を受けた作曲家”というコンセプトでやっています。僕の中ではフォーレという作曲家の作品は「ショパンが時代を遅れてフランスで生まれていたら、こんな曲を作ったんじゃないか」という気がするんです。フォーレはショパンに憧れを抱いていたと思われ、若い時はまるでショパンの後継者のような感じがして、曲のスタイルもノクターン、バルカローレ(舟歌)、即興曲、バラードというようなショパンと同じスタイルの曲もたくさんありますし、交響曲を書かなかったことも同じです。違うのは、フォーレは長生きしたことで、晩年は作風も変わって行きますね。また、フランスの作曲家というとドビュッシー、ラヴェルなどは、フランス的な要素を感じさせつつインターナショナルなテイストもあるのですが、フォーレはフランス人の作ったフランス人のための音楽みたいな部分が強く、そこに共感を持つとはまり込むような感じを僕は受けています。
──第8回では室内楽を採り上げ、弦楽器の共演者をお迎えしますね。
横山 矢部さんとは20年近くのお付き合いで、オーケストラのコンサートマスターとしてピアノ・コンチェルトのサポートをしていただいたり、二人でデュオをやったり、お互いのよく知っているメンバーで室内楽をやったりという関係がありました。今回はその矢部さんの繋がりで、東京都交響楽団のメンバーを中心に出演をお願いしました。
──矢部さんにとって横山さんはどのような存在でしょうか。
矢部 今までオーケストラやデュオで色々なピアニストと共演して来ましたが、彼は別格でかけがえのない存在です。歳は自分よりも少し若いけれども、尊敬の気持ちは薄れないですし、大好きなピアニストなんです(笑)。このフォーレのヴァイオリン・ソナタに関しては横山さんに「矢部さんとこの曲をやりたいんだ」と言われるまで演奏したことがなかったんです。「じゃ、ちょっと勉強してみよう」ということで、二人でレコーディングをしまして、初めて二人で録ったCDがこのフォーレだったんです。だから思い出の曲です。晩年のフォーレは耳が聞こえにくくなったので、そういう苦しい気持ちが出ていたり、心が解放される様子が出ていたりする作品で、また一緒に演奏できるのが楽しみです。
横山 僕が「矢部さんと一緒にやりたい」って言ったんだっけ(笑)? 音楽家には色々なタイプがあって、自分に近い音楽、尊敬する音楽、挑戦する音楽…と色々あると思うんですが、フランス音楽の神髄と矢部さんの音楽には近いものを感じるんです。古い記憶ですが、それで頼んだんだと思います。
室内楽では、ヴァイオリニストがどういう風に弾きたいのか事前に察知して、道を作ってあげることが必要なんじゃないか、と思っています。
──以前、この5名で演奏して素晴らしい経験ができたそうですが、どのように音楽を作っていらっしゃるのでしょうか。
矢部 言葉はほとんど必要がなく、お互いの音を聴き合って、あとはお互い長年やってきたものがあるのでテレパシーではないんですが、なんとなくわかることがあるんですね。特に横山さんはそういう事に関して天才的に研ぎ澄まされたものがあり、ちょっとした動きで「矢部君はこうしたい」とわかってくれる、稀有なピアニストです。そういえば僕がコンサートマスターで、横山さんのピアノ・コンチェルトの時に、僕も横山さんのやりたいことが結構わかるので勝手について行っちゃって…指揮者も含めて他の人はわからないから、僕と横山さんだけ皆とずれちゃう、ということもありました。それくらい僕らはよく解り合っているということで(笑)。
横山 室内楽ではヴァイオリンがメロディをやっていたらピアノがそれに合わせるイメージがあると思うのですが、実はヴァイオリニストがどういう風に弾きたいのか事前に察知して道を作ってあげるような感じが必要なんじゃないか、と思っています。僕が思ったレールと相手の求めたものが大きく違うと大変だけど、そのレールは毎回同じでないから面白いと思います。言葉をかわすのは冗談位ですね(笑)。
矢部 世代も近いですし、共有出来るものが多いので言葉はいらないという感じですね。
──それぞれの回の聴きどころを教えていただけますか。
横山 ヴァイオリン・ソナタ第1番はフォーレが若い時の作品で、若々しいフォーレの魅力を感じていただきたいと思います。一方、ピアノ五重奏曲第2番はフォーレの最高傑作のひとつで集大成の作品と言えるので、第8回ではフォーレの初期と晩年の2つの要素を聴いていただくことが出来ると思います。第9回は、フォーレとショパンの聴き比べですね。プログラムがフォーレのノクターン、ショパンのノクターン、フォーレの舟歌、ショパンの舟歌…と並んでいます。僕の頭の中の構想では面白いと思っているんですが、まだ実際にはこのようにして演奏してみたことはないです。この9回目はちょっと解説を加えながら聴いていただいた方が面白いかもしれませんね。同じノクターンもショパンが書くとこう、フォーレが書くとこう、と比較してお楽しみいただければと思っています。