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清水直子 ヴィオラ・リサイタル

清水直子
©Oji Hall / Photo: Fumiaki Fujimoto

オズガー・アイディン

本公演は終了しました

2014年 1月26日(日) 15:00開演

【全席指定】 【会員】S席4,000円・A席3,000円 【一般】S席4,500円・A席3,500円
U-23席(23歳以下)2,300円
中学生以上の方は公演当日に学生証または年齢が確認できるものをご持参ください。
託児サービス 500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで)
*未就学児は入場できません。
【出 演】 清水直子(ヴィオラ)、オズガー・アイディン(ピアノ)
【曲 目】 バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調 BWV1011
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ
ブラームス:インテルメッツォ 作品117(ピアノ独奏)
クラーク:ソナタ

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席ヴィオラ奏者
清水直子が贈る、珠玉のヴィオラ作品を味わうひととき

ヴィオラは、ヴァイオリンよりもひと回り大きい楽器で、オーケストラや室内楽では中音域を受け持ちます。その深く、柔らかな響きは、モーツァルトやブラームスをはじめとする偉大な作曲家たちを魅了してきました。今回、風のホールでは初めてのヴィオラのリサイタルを、世界最高峰のオーケストラのひとつ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者の清水直子の演奏でお贈りします。

清水直子は1996年ジュネーヴ国際音楽コンクール最高位、1997年ミュンヘン国際音楽コンクール・ヴィオラ部門にて、ユーリ・バシュメット以来21年ぶりの第1位を受賞するなど、輝かしい功績を収め注目を浴びました。その後、2001年ベルリン・フィルの首席奏者として迎えられ、10年以上に渡ってヴィオラセクションを牽引し続けています。

今回演奏するのは、バッハ、シューベルト、クラークの作品です。シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」は、アルペジョーネ*という楽器のための作品ですが、現在ではヴィオラやチェロなどで演奏され、楽器の持つ様々な響きを存分に味わえる名曲です。クラークのソナタはクラーク自身もヴィオラを演奏していたことから楽器そのものの魅力を生かした作品で、バロックから近代の作品まで充実した内容となっています。

夫であるオズガー・アイディンのピアノ演奏とともに、しなやかさと温かさを持ち併せたヴィオラの魅力を存分に味わうことのできるひととき。どうぞお聴き逃しなく!

*6弦のギターとチェロを掛け合わせたような楽器。
19世紀の前半にギター制作者のシュタウファーによって開発されたが、すぐに廃れてしまい、現在は演奏される機会は非常に少ない。

温かい、心に寄り添うような、しみじみとする
ヴィオラの音色が好きなんです。

──楽器はどのようにして習い始めましたか?

母はピアノを、父は趣味でヴァイオリンを弾いていました。父が江藤俊哉先生の「ヴァイオリンのおけいこ」というテレビ番組を見ていた時に、そばで私が「やってみたい」と言ったそうなんですが、私は覚えていません(笑)。それで3,4歳の頃、近所で習い始めました。ティーンエイジャーの時期に楽器から離れたこともあったのですが、その後「やっぱり弾こう」と思い直し、桐朋学園大学にヴァイオリン専攻で入学しました。

──専門をヴィオラに決めたのはいつですか?

桐朋では当時、ヴァイオリン科の学生はオーケストラや室内楽でヴィオラを掛け持ちで演奏することになっていました。私は比較的身体が大きかったせいか、ヴィオラがよく回ってきて、楽しく演奏していました。大学を卒業して研究科に進んだ時に、オーケストラや室内楽だけでなくヴィオラという楽器そのものやその作品をきちんと勉強してみようと思い、岡田伸夫先生との出会いもあってヴィオラの世界にのめり込んでいきました。ヴァイオリンとヴィオラ両方の楽器を素晴らしく演奏する方もいらっしゃいますが、私の場合はどっちつかずになりそうな気がして、卒業試験をヴィオラで受け「今後はヴィオラ奏者としてやっていこう」と決心しました。でも、まだ若い控えめな学生でしたので(笑)、ヴァイオリンで頼まれたお仕事をお断りして「今後はヴィオラしか弾きません」と宣言するのは、なかなか勇気のいることだったのを覚えています。

──ヴィオラという楽器の魅力はどのような所と思われますか?

他のヴィオリストのコンサートに行くと、「いい楽器だなぁ」「いいもの聴いたな」としみじみ思います。もちろん自分に全く無関係な分野ではありませんから「これは自分なら違ったふうに弾くかも…」などと考えることもありますが、温かくて心に寄り添うような、そして時にしんみりするヴィオラの音色が好きで、聴き惚れることがしょっちゅうですね。

──今回の選曲についてご説明いただけますか?

ぜひ一度お聴きいただきたい曲ばかりで、ヴィオラの演奏会に初めて足を運ばれる方にもじっくりと楽しんでいただけるプログラムだと思います。

まず、バッハの無伴奏チェロ組曲5番、チェロの名曲をヴィオラで演奏するわけですが、一番高い弦を通常は「ラ」の音で調弦するところを、この曲では「ソ」音で調弦するよう指定されています。弦を一音下げて弾くことで、全体の音色が暗くなり、内面に掘り下がっていくようなハ短調の雰囲気が出ます。通常の調弦つまり「ラ」調弦で弾いたことはあったのですが、オリジナル調弦に挑戦したいとずっと思っていました。余談ですが、例えばモーツァルトの協奏交響曲の場合、オリジナルの楽譜ではヴィオラは4本の弦すべてを半音上げて演奏するように書かれており、そうすることで音色が華やかになります。弦を下げる今回のバッハとは逆のパターンですね。こういった事は見た目にはわかりづらいのに、演奏する側にはいろいろな面で苦労が要求されるので、ちょっと報われない気分になったりもしますが、調弦を変えることでその曲が本来のあるべき姿、そして自分の求めている響きに近づけると思えばこそ、挑戦のしがいもあるというものです。

次にシューベルトのアルペジョーネ・ソナタ。シューベルトらしい暖かさや繊細な美しさ、悲しさなどを聴き取っていただければ幸いです。曲の難しさを感じさせないような自然な演奏ができればと思っています。プログラム後半はピアノ独奏の名曲から。主人のピアノの響きは深くて丸く、ブラームスの重厚な音楽によく合っていると思います。

最後にクラークのソナタ。日本ではあまり知られていない曲のようですね。作曲者自身がヴィオラ奏者であったためか、楽器の良さをよく引き出している曲です。アンサンブルで中音域を担当するため地味なイメージのあるヴィオラの、ブリリアントな面も聴いていただけるのではないかと思います。

──ご夫婦でお互いの演奏の感想などはよく話されますか?

そうですね、例えば主人がオーケストラを聴きに来た時などに感想を聞くと、ステージ上で演奏している側と客席で聴いている側で印象が違うことが結構あります。「今日よかったよね」と私が言っても「この間の方が…」と言われたり、「今日の指揮者はちょっと…」と思った時に「オケ、すごく良い響きしてたよ」と言われたりして面白いです。

──ベルリン・フィルの首席として10年以上活動してこられていかがですか?

「ベルリン・フィルだから」とか「首席だから」ではなく、どんな職業でもその道を突き詰めていこうと思ったら大変なのではないかと考えています。20年近くドイツに暮らしてきて、今は日本人とドイツ人の「中間人間」といった感じで、例えば、日本人にしてはイエス・ノーをはっきり言いすぎるし、ドイツ人と比べるとそれでもやっぱり控え目、といったような(笑)。

──今後の抱負とお客様へのメッセージをお願いします。

今後は、昔から好きだった室内楽、特に弦楽器での室内楽を演奏する機会を増やしていければと思っています。流れにまかせてゆっくりと、人生を充実させながら歩いていくのが理想です。

風のホール初のヴィオラ・リサイタルと伺って責任を感じていますが、お客様と私達演奏者で「その時、その場限り」である充実した音楽の空間を共有することが出来ればと、主人ともども楽しみにしております。ヴァイオリンやチェロとはまた一味違った、ヴィオラの多彩な音色に耳を傾けていただいて、それが次の日からの活力につながれば… それが例え「あぁ良く眠れて元気が出たよ」といった感想であっても嬉しいですね(笑)。

(2013年9月17日 ジャパン・アーツにてインタビュー)

三鷹市芸術文化センター
風のホール

〒181-0012
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