今年の3劇団も、いずれ劣らぬセリフの切れ味と緊張感に満ちた舞台を作り上げる力を持ち、
「マームとジプシー」と「はえぎわ」は本年4月に演劇界の芥川賞である岸田戯曲賞を受賞したほか、「モナカ興業」の演出家は平成21年度文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞するなど、今、最も注目を集める劇団ばかりです。
星のホールから、新しい才能が羽ばたく姿を、ぜひご覧ください。
本公演は終了しました
2012年9月7日(金)〜17日(月・祝)全13公演
【全席自由】 (日時指定) (整理番号付) |
会員 前売2,200円・当日2,700円 一般 前売2,500円・当日3,000円 高校生以下1,000円(前売・当日とも) |
【作・演出】 | 藤田貴大 |
【出 演】 | 伊野香織、石井亮介、荻原綾、尾野島慎太朗、斎藤章子、高山玲子、 成田亜佑美、波佐谷聡、召田実子、吉田聡子 |
記憶の断片を、言葉に、役者に、幾重にも反射させながら、いつしか、その刹那を永遠へと昇華させていく、揺るぎなき視線。マームとジプシー。
劇団プロフィール
藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める演劇団体として2007年設立。2011年6月〜8月にかけて発表した三連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞受賞。
http://mum-gypsy.com
[マームとジプシー]
家という建物の話をしようと思う。家が、始まるところから終わるところまで。或いは、家が、建つところから壊されるところまで。さらには壊されたあとの、その跡地。についてまで。家の中には家族がいただろう。何世代か、家族と呼ばれる人たちが行き来。しただろう。でもここで扱われるのは、その家族たちのドラマだけに留まらずに、家という建物としてのドラマを。したいのである。100年規模のスケールで。一つの、家という建物の話をしようと思う。のである。個人的なことになるかもしれないけれど、これを描かないと、僕は先に進めそうにない。なぜなら僕の、身近で大切な人の、祖父の、祖母の、家という建物が、現在、終わりを迎えようとしているから。である。それでも、終わることは、始まることかもしれない。とも、思うのである。マームとジプシーも、今また。ここから始めてみようと。思うのである。
公演を控えた3劇団の作家に、今回の公演に寄せる思いを伺いました。
今回の舞台に、どんな構想を抱いていらっしゃいますか?
藤田貴大 撮影:飯田浩一家の話になりそうです。
三鷹のホールには初出演です。どんなイメージをお持ちですか?そしてどんな風に使ってみたいなと思っていらっしゃいますか?
こないだの公演『ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景』でプロトタイプはできたと思ってるんで、大丈夫そうです。三鷹は、演劇っぽい人たちがたくさん使っているみたいな臭みがある劇場ってイメージですね。
初めて演劇に触れた体験はいつで、どんな体験でしたか?
10歳のころ、子役で。
初めて脚本を書かれたのは(初めて演出をされたのは)いつですか?その時はどんな作品を作られたか覚えていらっしゃいますか?
19歳のころ。ワンシチュエーションのリアルタイムで進行する会話劇。
この公演を観て、演劇の世界を志したというような公演はございますか?
劇団四季のオペラ座の怪人ですね。
「塩ふる世界。」 撮影:松本和幸
(もちろん、今後その分野に進まれるかもしれませんが)映画や小説など数多くある芸術のジャンルの中で、演劇の持つ魅力とはなんでしょうか?
別にそういうのも最近はなくなってきました、ってくらい、ぐちゃぐちゃになってきました。というのは演劇云々で悩まなくなりました。なににも、突如として、生身の身体みたいなのがヌッと現れること、あります。とか、深夜に考え、震えています。
舞台を作る上で、大変なこと、うれしいこと、色々あると思いますが、どういう点が一番大変で、どういう時に一番喜びを感じますか?
いつも、つらいです。もうずっと。10代のころから、ずっと、つらいです。喜ぶのも、束の間、すぐに、つらいので、喜ぶことは、やめました。
作品を作る上で、どのようなときに、ストーリーやアイデアの発想が浮かんできますか?
稽古場にいるときしか、何も進みません。
いま、演劇以外の分野で面白いと思うものはありますか?
ぐちゃぐちゃしてきてるので、何がとか、ありません。いろいろ想って、深夜に震えています。
今回の公演に向けて、お客様へのメッセージをお願いします。(どういったところを特に観てもらいたいかなど)
とりあえず、見にきてもらわないと、わからないと思いますし、見ないとわからないことを、しているつもりなので、見にきてください。なんか、近いようで、遠いみたいな劇場みたいですが。