パソコンで予約携帯予約
チケットのお求め方法託児サービス友の会ご案内

主催事業アーカイブ(2016年以前) > 風のホール

音楽
演劇
映画
古典芸能
美術
文芸
インタビュー
動画

清水靖晃&サキソフォネッツ zig-BACH-zag-PENTA

清水靖晃&サキソフォネッツ

清水靖晃

本公演は終了しました

2011年12月10日(土) 18:00開演

【全席指定】 会員3,600円 一般4,000円 学生2,000円
託児サービス 500円、対象:1歳~未就学児、定員10名、要予約(2週間前まで)
*未就学児は入場できません。
【出 演】 清水靖晃(テナー・サキソフォン)
江川良子、林田祐和(テナー・サキソフォン)
鈴木広志、東 涼太(バリトン・サキソフォン)
【曲 目】 J.S.バッハ:「無伴奏チェロ組曲」、「フーガの技法」より
清水靖晃:アルバム「ペンタトニカ」と5音音階作品より
*曲目は変更になる場合がございます。
【サイト情報】 ウェブサイト http://www.yasuaki-shimizu.com

ジャンルの枠にとらわれない斬新な活動を展開する作曲家、サキソフォン奏者、清水靖晃。地下採石場跡や巨大倉庫、地下駐車場といったコンサートホールとは異なる場所で録音やライヴを行うなど、音と空間との関わりに常にこだわるアーティストとして知られる清水とサキソフォネッツによる三鷹初のコンサートをお贈りします。

さる4月に風のホールを訪れた清水が、今回は「バッハの作品と5音音階によるオリジナル作品を交互に演奏」し、新たにオリジナル曲を書き下ろすことを急遽決定。「バッハ × サキソフォン× スペース」の関係に着目する清水ならではの世界観、美しく柔らかくホールに溶け込むサキソフォンの音、風のホールが呼応して生まれる唯一無二の音響空間。心ゆくまでご堪能ください。

清水靖晃氏からのコメント

静寂に身を置き、後頭部に意識を集中させて下腹部に力を入れ音を呼ぶ。
何処からともなく音の質感が現れる。首の筋肉を使って音を変形させていく。
延ばしたり捻ったり自由自在だ。凄い!およそ両掌に収まる濡れた脳の奇跡・・・。
「この肉塊が意識を持つメカニズムはどうなってんだ・・・。」と、この驚きを栄養にして音楽を作り続けています。

今回、音の(音楽の)振動体として経験、記憶、夢、意図を共有する4人の筒師達と風のホールの空間を楽器として響かせます。同時に空間を共有する観客皆様の筒内空間も響かせてみたいと考えています。

演目はJ.S.バッハの楽曲と拙作5音階の交互演奏です。この試みは2005年パリのThéâtre de la Ville – Les Abbessesで最初に行い、現在のサキソフォネッツに到達する起点となったコンセプトです。
5人の筒師から放たれるバッハと5音階は、絡み合い、暗号化されて空間に意味として滲みます。
そして痺れが退くように儚く消えていきます。

清水靖晃 http://www.yasuaki-shimizu.com

Interview 清水靖晃 作曲家・サキソフォン奏者

楽器や作品よりも、その人間や文化が表現されることが大事
12月の風のホール公演に向けて準備中の清水靖晃さんにお話を伺いました。
──子どもの頃の音楽体験

清水靖晃うちの父は仕事以上に趣味に忙しい人で、色々な楽器をこなす人でした。モダンジャズ、ハワイアン、ラテン、歌謡曲など幾つものグループを自分で持っていて、ぼくもそのリハーサルにはよくついて行きました。母は小学校の先生で合唱の指揮なんかもやっていたので、僕の周りには常に色々な音楽が存在していました。なんで日本にはこんなにたくさんのジャンルの音楽があるんだろう、というのはこのころからの僕の疑問で、僕もいろんな音楽に興味を持ち、惹かれて、それを習得する欲動に駆られていくことになったんです。楽器は、5・6歳の頃からピアノやヴァイオリン、打楽器、クラリネットなどもやっていました。中1くらいの時に、父のバンドのサキソフォンのメインの人が病気でイベントに来れないという事になり、突然父がサキソフォンを買ってきて「これ、練習しとけ。」と言われて(笑)。それが、サキソフォンを手にしたきっかけです。その頃から自己流だけど、作曲も現代音楽っぽいものを作ったりするようになりました。

──「テナーサキソフォン」×「バッハ」×「スペース」

ミュージシャンとなってからは、ポップな音楽やジャズ、クラシックなどもやり、作曲もしていました。音楽って「リズム」「メロディ」「ハーモニー」の3要素で成り立っているわけですが、ある頃から、それで曲を組み立てることにちょっと飽き足らなくなってきて。そこで思い切って一つの音色で出来ることを追求した方がいいかと思い、じゃあ、サキソフォン1本でどこまでできるかな、と思いました。ジャズをやったら普通だなと思っていた時に、ちょうどバッハの譜面が目に付いたのです。一人で吹いてミキサーのリバーブ(残響)を目いっぱいにして多重録音し、レコード会社に持って行ってみました。実際に制作することになり当初はスタジオで録るつもりが「残響って機械で作らなくてもいいのでは?」ということになりホールや外に出たらどうだろうと思って色々な人に録音によい場所を尋ねていたら「あそこの響きは面白い」という話が来て…。倉庫などで試しているうちに大谷石の地下採石場跡との出会いがありました。これがすごくて、地下帝国みたいなんです。天井の高さなんか何十メートルもあって。吹いてみたら、いつもなら楽器と自分の振動がわかるんですが、空間自体が楽器として鳴っている感じ。残響が25秒位あるので、乱反射がすごくて楽器を触っているという感じさえ湧かないくらいでした。もう病み付きになり、絶対ここで録音しようと思いました。 考えてみたらバッハの時代にはパイプオルガンがあり、教会のような大きな空間で演奏されていました。パイプオルガンもサキソフォンと同じ「筒」という共通の原理で、閉じた空間を響かせて、信仰心を高める効果を狙っていたんじゃないかと感じました。 これが、僕にとって「テナーサキソフォン」「バッハ」「スペース」の三角関係を追求していくきっかけになりました。

──音楽にユーモアを

サキソフォンはそれほど歴史の長くない楽器です。色々な国でポピュラーな楽器として汎用されていて、日本では場末のキャバレーのムード音楽みたいなものから、クラシックまで演奏されています。堅いイメージもドロドロしたものも出来るんですね。これまでの僕が培ってきたものも同様で、僕の奏法はその全部があるんです。「テナーサキソフォン」×「バッハ」×「スペース」の提示は、そういう僕の大真面目な“ユーモア”でもあるんです。

──5音音階作品について

清水靖晃僕はもともと若い頃からやっていたロック系のバンドでも最後の方は5音音階(1オクターブが5つの音で出来ている音階)の作品を書いたり、北島三郎さんの「漁歌」などをプロデュースしたりして演歌の世界にも関わっていますし、中国やアフリカの音楽も好きなので5音音階ものが好きなんですね。パリで公演した時にバッハ以外にも何かやってほしいと言われて、ひらめいたのがバッハとこの5音音階を交互にやったら面白いかも、ということでした。それで5本のサキソフォンのための5音音階作品を書いたんです。パリでも大変受けたのですが、巧くコブシをきかせたりするためには何回もリハーサルをして気持ちを合わせる必要を感じて、色々な人と会って話をしました。それで集まったのが今のサキソフォネッツのメンバーです。

──サキソフォンだとは聴こえない位の響きを

テナー3本とバリトン2本という編成も独自なんですが、あえてソプラノの音域もテナーで演奏しています。ソプラノだと高音が細い感じになってしまうので…。サキソフォンには聴こえないで筒が鳴っているだけ、という感じにしたくてヴィブラートもかけないでスラーもかけず、一つ一つの音を空間に置いていく感じにします。若い時は違ったのですが、今はストレートに「ふっ」と行く方が艶っぽい、色っぽい音になるので好きなんですね。

クラシックの音楽会って「決まった音楽」を聴きに行く感じだと思うんですが、僕の演奏会の場合はそうじゃなくて、音の質感とか空間を感じていただきたいと思っています。楽器や曲に集中することよりも、僕は、その人の人間とか文化とかが表現されることが大事だと思うんです。音楽を発信することとは、僕にとって僕自身を発信することと同じなんです。

(2011年9月8日 三鷹市芸術文化センターにてインタビュー)

【清水靖晃 インタビュー動画】

※JCN武蔵野三鷹「MITAKA ARTS NEWS ON TV」で放映されたものです。YouTube で見る

三鷹市芸術文化センター
風のホール

〒181-0012
東京都三鷹市上連雀6-12-14
0422-47-5122 (チケットカウンター)
0422-47-9100 (施設受付・事務局)
busアクセスMAP»