延年の舞に飛び六方、荒事の弁慶を松本幸四郎で!
©松竹
[チケット発売日] 会員4/11(日) 一般4/18(日)
本公演の客席図は、こちら[PDF: 2.1MB]でご確認いただけます。
2010年 7月19日(月・祝) 14:00開演(16:30終演予定)
【全席指定】 | 会員S席 会員6,300円 一般7,000円 A席(花道の見えないお席) 会員5,400円・一般6,000円 |
* | S席とA席の配置につきましては、財団ウェブサイトでご確認いただくか、またはお電話でお問い合わせください。 |
* | 未就学児は入場できません。 |
* | 同時解説イヤホンガイド(有料)を公演当日会場にて販売いたします。(日本語版のみ) |
* | 英語版の演目解説を、財団の各チケット販売窓口で配布しております。 |
三鷹の地に4年ぶりに、勧進帳(かんじんちょう)が、
そして松本幸四郎の武蔵坊弁慶が帰ってまいります。
上演回数も1,000回を越え、ますますその芸に磨きがかかる松本幸四郎の勧進帳を、ご堪能ください!
★同時解説イヤホンガイドあり(有料)
イヤホンガイドとは…
舞台の進行に合わせて、あらすじ・衣裳・道具・音楽・歌舞伎独特の約束事などを、
ご観劇の邪魔にならないようタイミング良くご説明する音声ガイドです。
お芝居の見どころや聞きどころも逃さずお楽しみいただけるよう解説しますので、
歌舞伎がよりいっそう面白くなります。
当日劇場ロビーでお貸し出しいたしますので、ぜひご利用ください。
【使用料】 | 600円(別途、保証金1,000円をお預かりします) |
※ | 10名以上のグループでのご利用には、割引もございます。 (グループでのご利用の場合にのみ事前予約が必要です) |
詳しくはこちら→イヤホンガイドHP
Interview 松本幸四郎
歌舞伎を代表する名作の一つとして屈指の人気を誇る、歌舞伎十八番の内『勧進帳』。
松本幸四郎さんは祖父、父からこの演目を受け継ぎ16歳で初めて演じて以来、歌舞伎座をはじめとする大劇場での上演ばかりでなく全国各地で弁慶を演じ続け、上演回数は1025回を記録、今回の巡業で全国47都道府県を制覇します。
三鷹市公会堂での公演を前に、松本幸四郎さんが歌舞伎『勧進帳』に寄せる思いをお話しになりました。
きっかけは、沖縄から届いた一通の手紙
今回の巡業をもちまして全都道府県で『勧進帳』を演じることになりますが、きっかけは沖縄の女子大生の方からいただいた一通の葉書でした。「私の父は出張で東京へ行くたびに歌舞伎座へ通い、貴方のお父様の白鸚丈の演じる『勧進帳』を観るのが大好きでしたが、今では身体を悪くして東京へ行くことができなくなりました。是非、幸四郎さんの弁慶を父に見せたいので、沖縄公演を実現して欲しい…。」というお手紙を読んだとき、歌舞伎座で行う公演だけでなく「歌舞伎が観たいな」と思っていらっしゃるお客様の元へ伺うことも、とても大事なことだと思いました。沖縄公演の終了後、楽屋へ娘さんに手をひかれてやって来られたお父さんが目を真っ赤にしてお礼を言ってくださった姿が心に残っています。
『勧進帳』上演半世紀の思い出
16歳のときから演じて今年で半世紀以上になりますが、色々な『勧進帳』がありました。父が亡くなった翌日の大阪公演で、花道を飛び六方で退場する際にお客様の大きな拍手で太鼓の音がかき消され、手拍子で退場したことや、新潟県中越地震の直後に行った新潟では、公演前日にも大きな余震がありましたが当日は満員のお客様にご来場いただき、公演中は地震の恐怖を忘れてくい入る様にお客様がご覧になっていらしたこと。また奈良の東大寺大仏殿前での1000回目の公演では、二月堂の鐘の音や鹿の鳴き声が聴こえる中、大仏殿の甍ごしに秋の満月がのぼったこと等…。
そしてこの半世紀、この国が多くのお客様に安心して歌舞伎をご覧いただけるような平和な世の中であったこと、そしてこの平和の為にどれだけ多くの方の努力と犠牲があったかということです。日頃から考えていることですが、人を誹謗・中傷することは誰にもできるけれども、人に感動を与えることはなかなかできない。そのなかなかできないことを自分は仕事にし、またそれを役者として生涯、追求していかなければならないと思っています。
旅は人生そのもの
「人生は旅、旅は人生。」という言葉がありますが、普段東京で公演を行う日々とは違って旅をしていると、各地で色々な方と触れ合う中で余計なものが削ぎ落とされ、芝居に対する想いが凝縮されて、気持ちが優しくなれるんです。肉体的には移動等が多くて大変ですが、人の心を優しくしてくれるそんな旅が私は大好きです。
色々な会場で公演を行うにあたり肝に銘じていることは、演じる場所で自分の芸が左右されるようではまだ本物ではない。花道が短いとか定式幕が無いといった歌舞伎の為の設備が十分整っていない会場でも、観に来てくださるお客様には微塵もそういったことを感じさせず、まるで歌舞伎座で観ているかのような雰囲気を作り出すことが私の役者としての勤めだと思っています。
今を生きる歌舞伎を
役者の芸は形には残らない、演じた瞬間に消えていってしまう儚いものです。だからこそ、その一瞬を一番大事にしたい。地方巡業では、この思いがより一層強まります。
歌舞伎座が建て替えのため5月から3年の間休場しておりますが、新しく出来る歌舞伎座の外観がどう変わろうと中で演じられている歌舞伎が素晴らしくなければ意味がありません。この三年間は私たち歌舞伎役者にとってはまさに正念場、ひと公演毎いかに素晴らしい歌舞伎を演じていくことができるか、とても大切な三年間になると思います。そういった意味でも今回の巡業はそのスタートであると思っています。