演劇担当が劇場に足を運んで見つけた、将来性のある劇団をシリーズで
お贈りする“Next” Selection。お気に入りの劇団や役者さんに出会い、
その後も彼らの更なる活躍を応援する… そんな楽しみもお届けしたいと思います。
[チケット発売日] 会員9/3(水) 一般9/6(土)
2008年10月24日(金)〜11月3日(月・祝) 全13公演
【全席指定】 | 会員:前売3,000円 当日3,300円 一般:前売3,300円 当日3,600円 高校生以下 1,000円(前売・当日とも) *当日学生証をご持参ください。 |
*開場は開演の30分前です。 *未就学児は入場できません。 | |
【作・演出】 | 前川知大 |
【出 演】 | 浜田信也 盛 隆二 岩本幸子 ほか |
【公式サイト】 | http://www.ikiume.jp |
主宰・前川知大の世界観を見事に昇華させた重さのある脚本と、若手とは思えぬほどの緊張感溢れる的確な演出力で注目を集める。
劇団名は「生きたまま彼岸を覗く」という作劇コンセプトに由来し、"センス・オブ・ワンダー"な物語世界を、劇団員「イキウメン」たちが体現する。
幕が開き、舞台から流れる空気を吸ったとたん...あなたはイキウメの世界に、一気に引き込まれることでしょう。
Interview 劇団イキウメ
若手とは思えぬ完成度と独自の世界観に大きな注目を集めている劇団イキウメ!
公演に先立ち、お話を伺いました。
笑えるもの、怖いもの、不思議なもの… 色々覗けるショーケースのような作品です。
[左] 前川知大 [中] 浜田信也 [右] 盛隆二──まず、劇団のプロフィールと名前の由来をご紹介いただけますでしょうか?
前川:2003年旗揚げで今年6年目になります。「イキウメ」という劇団名は「『あの世』的な非日常の世界を生きたまま覗きに行ってみよう」という、日常と非日常がミックスされた劇作の世界観が由来になっています。
──今回は短篇集ということですが、なぜ短篇集に取り組まれたのでしょうか?
前川:まず『図書館的人生』というタイトルですが、これは、これまで生きてきた色々な人々の記憶が全部入っている、無限に広がる図書館から作品をチョイスする、というイメージで名前をつけました。短篇集は、同じテーマで“笑える”ものとか、“怖い”ものなど色々な作品の形が可能なので、劇団のカラーがわかりやすい、ショーケースのような作品になると思い、定期的にやっていきたいと思っています。
浜田:役者としては、短篇集だと1個の作品でのモチーフが別の作品に出てきたりして「バトンタッチする」楽しさがありますね。
盛:そうですね。時間が短い分密度が濃く、長編に比べて速いテンポで楽しむという感じになりますよね。
──今回の作品のテーマをご説明いただけますか?
前川:タイトルは『盾と矛』、テーマは「武器」です。武器と言っても銃や剣だけではなく“女の武器”や“言葉の武器”、あるいは思想というものも人を守ったり攻撃したりするときに使われますよね。そういう意味ではみんな1個か2個は武器を持っているはずです。それで副題には「攻めるものと守るもの」としています。
──4つの短篇のあらすじを上演順に教えていただけますか?
前川:まず、『賽の河原で踊りまくる「亡霊」』ですが、これはオカルト・コメディです。賽の河原で亡者達が小石を積み上げると、地獄の鬼が積んだはしから壊していく、という伝説がありますが、この小石の山を壊し続けるのを仕事としている鬼と亡者達の問答です。“鬼”という言葉にも、鬼ごっこの鬼とかゲームの鬼という意味もありますよね。ストーリーの中で、そういう“鬼”も重なっていって、徐々に鬼が一体何をしたいのかが明らかになっていく、というものです。
次に、『やさしい人の業火な「懐石」』という話ですが、これはホラーで、日常のリアルな話です。刑期を終えた受刑者と、そうとは知らずに彼を家に招待してしまった人たちの話で、善意の夫婦が彼の素性を知るに従って徐々に自分の中に湧き上がってくる偏見と闘う話です。食事をしながらの会話劇ですが、結果的にホラーっぽいものに仕上がっています。
3作品目が、『東の海の笑わない「帝王」』で、これはシチュエーション・コメディ的な作品で、決して笑わない、表情を顔に表さない夫と、見合い結婚した彼の奥さんの話です。「笑った所を見たことがない」という妻に「笑っていないけど、楽しんでいるんだぜ」「もっと態度で表してよ」といったやり取りで、キッチンで戦争が勃発する…という話です(笑)。
4作品目は『瞬きさせない宇宙の「幸福」』で、これは完全にSFです。隕石マニアの人が隕石を拾って、その隕石にまつわるドタバタが繰り広げられ…。その隕石が一体何か、という話です…(笑)。
──バラエティに富んだ作品で楽しそうですね。
浜田:僕たちもいま初めて聞いたことが色々ありました(笑)。今回は稽古初日に台本を貰えると聞いていますので(笑)。「受刑者の話」などはいままでのイキウメに通常入っているSFやオカルトの要素がない点が珍しい作品ですね。
盛:僕はどの役やるのかなぁ、って思いながら聞いてました(笑)。
──最後に、お客様にメッセージをお願いします。
前川:バリエーションよくセレクションできたと思っています。初めてご覧になる方にも楽しんでいただけると思います。ぜひ皆様観にいらしてください。
(平成20年9月8日インタビュー)