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沼尻竜典(ぬまじりりゅうすけ)
1964年生まれ、桐朋学園大学卒業。90年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。93年〜98年新星日響正指揮者、99年〜02年東京フィル正指揮者。01年芸術選奨文部科学大臣賞新人賞。現在、名古屋フィル常任指揮者、日本フィル正指揮者。昨年末に第3回齋藤秀雄メモリアル基金賞、1月には「音楽の未来遺産 シリーズ三善晃の世界」の企画・指揮で第46回毎日芸術賞を受賞、さらに同演奏会には文化庁の芸術祭優秀賞が贈られた。
音楽家も皆迷いながら歩んでいます
── 齋藤秀雄メモリアル基金賞など3つの受賞をおめでとうございます。
 ありがとうございます。30代に別れを告げて、もう若手という扱いも受けなくなっていくこの時期に、これまでの仕事を賞という形であらためて評価されたのはうれしいですね。
 音楽家は皆、あいまいな評価の中で迷いながらやっています。スポーツの世界ならば、賞金王だとか世界記録だとかが話題になりますけれど、音楽家の演奏は、例え世界記録ぐらいの価値があったとしてもニュースにはならない。批評家やお客様の反応も人それぞれというところがありますし。また、芸術の世界ではより多くのお客様が喜ぶものだけをやっていけばいいということでもない。特に新しい分野はそうです。そういう中で、賞という形で肯定してもらえたということは励みになります。

いわゆる管理しにくい生徒でした
── 三鷹市立高山小学校、第三中学校の頃はどんな生徒でしたか?
 中学では3年間、放送委員をしていました。掃除の時間は『宇宙戦艦ヤマト』とか、曲を決めてかけたりして。放送中に「こんな曲をかけちゃいかん」と先生に怒鳴り込まれたこともあります。内容をめぐっては先生にかなり果敢に反発していましたね。喧嘩もしたし、いわゆる管理しにくい生徒だったと思いますよ。「“中学生らしく”では分からない、具体的に教えてください」なんて言って。でも逆に先生たちとはよく話をしたから、お互い印象に残っているようです。
 小学校ではクラスの歌を作ったり、作曲コンクールを企画したり、中学の生徒会選挙のときには選挙対策委員をして、クラスの候補者達の応援歌も作りました。すぐ覚えられる短いフレーズで印象的な歌詞にと、マーケティングっぽいことまで考えたりして。
学校を最大限活用していた感じです。さっさと帰宅して1日何時間以上ピアノの練習をして、というピアニストタイプではありませんでした。

8小節のことで1時間やっています
── トウキョウ・モーツアルト・プレーヤーズ(TMP)の特徴とは?
 TMPは、「風のホール」を本拠地として、625席の空間に合わせて編成されています。奏者の顔の表情から息遣いまでわかるこの距離で聴けるのは、とても贅沢だと思います。
 メンバーが「みたかジュニア・オーケストラ」の指導もしていますが、これは理想的な形。例えばドイツなどでは、三鷹ぐらいの都市には必ず常設のプロのオーケストラがあって、団員は午前中集まって練習して、夜の公演までの自由な時間には地域の生徒を教えるというサイクルで生活しているわけです。自分の先生が舞台で演奏しているのが聴けることは、子どもたちにとって最高の刺激になります。演奏会に両親と来てくれる、家族で感想を話し合うといった相乗効果もあり、そういう子どもたちが大人になってオーケストラに入ったりするんです。
 TMPのいいところは、三鷹での演奏会と演奏会の間に、メンバーがそれぞれ他の場所で音楽体験を積んで三鷹に集まり、ディスカッションしながら時間をかけてつくっているところですね。いつも新鮮だし、リハーサルの時間を十分とっているので、最初の8小節のことで1時間やっていたりしますから。大人数の編成だとそうはいきません。

初の親子向けコンサート──ホールへ来るきっかけづくりになれば…
── TMP10年の成果と今後の夢は?
 TMPは芸術文化センター開館のときに同世代の仲間に呼びかけて結成しました。三鷹で演奏するのは年数回なのに、メンバーにこれだけ帰属意識があるのは稀有なことでしょう。演奏者がただ行って演奏するだけではなく、企画する側と演奏家にいい関係があり、ときには冒険もできる環境がある。そういう関係を10年かけて築いてきたということでしょう。
 今は「売れるものだけに価値がある」という風潮が強くて、ビジネスではそうかもしれないけれど、それが一般的な価値観になってしまうことに危惧の念を抱いています。コマーシャリズムに乗らない作品の中にも値千金のものがあり、そういうものに出会うことが人生の宝物になりうるはずです。
 将来の展望としては、色々な時代の音楽を演奏したいとか、海外も含めてもっと多くの都市で演奏して発信していきたいとか色々あります。
 “ヨン様”は外交官何千人分もの貢献をしたと言われているそうですが、やはり土地の好感度を上げるのは文化的な交流が基本ですよね。
 今、スタッフと7月の親子向けコンサートの中身を練っています。このようなスタイルのコンサートはTMPとして初めての試みです。会場のみなさんと一緒に歌ったりする企画を考えていますので、コンサートホールはどうも敷居が高くて…と考えていらっしゃる方にも、気軽にご来場いただけると嬉しいですね。子どもばかりでなく、大人も楽しめる内容にしますのでご期待ください。
(17年1月22日インタビュー)


沼尻竜典インタビュー
[チケット発売日]会員4/13(水) 一般4/20(水)
 2005年7月23日(土) 17:30 開演
  17:30〜17:45 みたかジュニア・オーケストラによるプレ・コンサート
  18:00〜 沼尻竜典&TMP「ファミリーコンサート」
 【全席指定】 会員=3,000円 一般=3,500円
高校・大学生=1,800円 中学生以下=1,000円

3歳児以下のお客様の入場はご遠慮下さい。
4、5歳のお子様をお連れの方は、2階正面の親子席をご利用下さい。
500円、対象:1歳半〜未就学児、定員10名、要予約
【公演名】 沼尻竜典&TMP37th 夏休み最初のファミリーコンサート
【出 演】 沼尻竜典(指揮・ピアノ・おはなし)
トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ(管弦楽)
【曲 目】 フンパーディング:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より、
「となりのトトロ」メドレー、「魔女の宅急便」
「天空の城ラピュタ」など、楽しい曲がいっぱいです。
沼尻竜典さんは昨年末から今年初めに、斉藤秀雄メモリアル基金賞、毎日芸術賞、そして文化庁芸術祭優秀賞をトリプル受賞し、今や日本を代表する指揮者となりました。その沼尻さんがこの10年間、風のホールで展開してきたコンサートシリーズで、満を持して“ジブリ”作品を中心とした演奏会に取り組みます。
三鷹市には「ジブリ美術館」があり、宮崎駿監督作品は今や世界でその名を知られる存在でもあります。宮崎駿アニメでは、その音楽も重要な要素となっており、子どもから大人まで多くのファンを魅了してきました。今回はそのジブリ作品の音楽を、TMPの精緻なアンサンブルでお聴きいただきます。また、グリム童話を元に作曲されたオペラ「ヘンゼルとグレーテル」や、「動物の謝肉祭」など、親子で楽しめる名曲もお届けします。夏休み最初に沼尻さんが贈るコンサートです。ご期待ください。
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