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バッハを "運命の楽器" ドメニコ・モンタニャーナとともに

アリサ・ワイラースタイン インタビュー(2016.10.14公開)

2016年11月 2日風のホール音楽・ホール担当(mamitalia)


 巨匠ダニエル・バレンボイムの秘蔵っ子として名門デッカ・レーベルからデビューを果たし、9月にショスタコーヴィチのチェロ協奏曲2曲を収録した新譜がリリースされたばかりの話題のチェリスト、アリサ・ワイラースタインさん。
 世界の名立たるオーケストラからソリストとしての指名も多く、多忙を極める日々を送る彼女に、待望の三鷹での初リサイタルを前に、メールでお話を伺いました。
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(photo: Jamie Jung)

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―アリサさんは、お父様がクリーヴランド弦楽四重奏団の創設者でヴァイオリン奏者のドナルド・ワイラースタイン、お母様がピアニストという、文字通り の"音楽一家"に生まれました。まずはこどもの頃のアリサさんについてのお話を伺いたいと思います。ご自身のFacebookに掲載されている、シリアルの箱でできたチェロを演奏する可愛らしいお写真を拝見したのですが、チェロとの出会いについてお話しいただけますでしょうか。

アリサ・ワイラースタイン(以下、ワイラースタイン) チェロとの出会いではっきりと覚えているのは、2歳半の頃でしょうか。ある日、父がヨーロッパでクァルテットの仕事に出かけ、母は他の同僚と演奏会の仕事のために出掛けようとしていた時のことです。母が出掛ける前夜、私が水疱瘡になってしまったんです。そこで、どんな時でもいつも私の世話に来てくれていた祖母が、私を可哀想に思って、シリアル・ボックスの厚紙でできた手作りの弦楽四重奏団を持ってきてくれました。すると、私は、古い歯ブラシのエンドピンがついたライス・クリスピーの箱でできたチェロと一瞬のうちに恋に落ちてしまいました。他の楽器は全く目に入らなかったんです。 
 両親が練習やリハーサルといった"いつもの"ルーティンに戻ると、私はとてもハッピーでした。なぜなら、自分も参加できたからです!両親がともにリハーサルをしている間ずっと、小さなチェロから必死になって音を出そうとしていた幼い頃を思い出します。
 やがて、シリアル・ボックスのチェロでは満足できなくなり、私は4歳になると母に本物のチェロが欲しい、チェロの先生につきたいとお願いしました。私があまりにも幼かったので、当初、両親は消極的だったのですが、すぐに折れました。数ヶ月後に私はレッスンを始めました。これこそ自分のやりたいことだ、ということを本能的に知っていたのでしょうね。当時の私の究極の夢は、オーケストラとドヴォルザークの協奏曲を演奏することでした。

―名門コロンビア大学でロシア文学も勉強されたのですね。どのように興味を持たれたのでしょうか。

ワイラースタイン 実際にはロシア文学ではなくロシア史を学びました。ロシア及びソヴィエト連邦時代の文学や音楽に興味を持ったことがきっかけで、コロンビア大学でロシア史を勉強することにしたんです。

―ところで、最近アリサさんが演奏されているドメニコ・モンタニャーナのチェロについて教えていただけますでしょうか。

ワイラースタイン 2年ほど前、まったく偶然に、私は夢の楽器に出逢ってしまったんです。1730年頃に作られた、素晴らしいドメニコ・モンタニャーナです。以来ずっとこの楽器を演奏してきたのですが、幸運なことに、約6ヶ月前に、信じられないほど寛大に援助してくださった方のおかげで、手に入れることができたんです。
 演奏家と楽器との関係はとても特別なものであり、そして稀にしか起こらない奇跡のようなものです。私は同等のクラスの他の楽器を試してみましたが、このモンタニャーナとの繋がりに近いものを何一つ感じませんでした。デッカ・クラシックスからこの9月末にリリースされたばかりのショスタコーヴィチの二つのチェロ協奏曲は、この素晴らしい楽器で録音ができたので、とてもラッキーだったと思います。

―今回はヨハン・セバスティアン・バッハの無伴奏チェロ組曲から第1番、第3番、第5番を組み合わせたプログラムを演奏されますね。

ワイラースタイン 私はこのプログラム、そしてバッハの組曲を組み合わせたものが大好きなんです。この3つの組曲は、多かれ少なかれまさに同じ構造を維持しながらも、作曲家の持つ3つの全く異なる側面を見せています。第1番は、一般に楽観的な(楽天的な)イントロダクションとしての役割があります。第3番はこの考えをもとにして、さらに盛り上がり、発展していきます。第5番は、全く異なる方向性を持っていて、とても悲劇的!でも、この曲は、全組曲の中でも私の最もお気に入りの作品なので、最後にとっておいたのです。

―プライベートな時間はどのように過ごされていますか?

ワイラースタイン 子どもと一緒に過ごしています。私たち夫婦に、今年の3月、初めての子どもが生まれたんです。

―最後に、メッセージをお願いします。

ワイラースタイン 音楽を楽しんでくださいね!

協力/株式会社ユーラシック
インタビュー・編集・翻訳/音楽担当 大塚真実

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アリサ・ワイラースタイン 無伴奏チェロ・リサイタル

巨匠ダニエル・バレンボイムが見出した逸材
ワイラースタインの深く、艶やかな音で聴くバッハ
2016年11月13日(日)15時開演
三鷹市芸術文化センター風のホール
チケット好評発売中

公演の詳細はこちらをご覧ください。⇒http://mitaka.jpn.org/ticket/1611130/


三鷹市芸術文化センター
風のホール

〒181-0012
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