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鈴木大介 ギター・リサイタル "映画名曲コンサート" 関連コラム

第2回:ニュー・シネマ・パラダイス

2014年9月11日風のホール音楽・ホール担当(mamitalia)

 前回、映画『イル・ポスティーノ』とその音楽にまつわるお話を書いてから、しばらく時間が経ってしまいました。
 9月になり、日中はまだまだ蝉の大合唱が頑張っているものの、朝夕には秋の虫の音がどこからともなく聞こえてくるようになりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

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 さて、今回も引き続きイタリアが舞台の映画のご紹介となりますが、少しだけおつきあいください。本日は、今回のリサイタルで演奏される曲目より、『ニュー・シネマ・パラダイス』をご紹介いたします。9月27日(土)開催の上記のコンサートでは、本作のメインテーマをギター1本のアレンジで鈴木大介さんが演奏なさいます。
 『ニュー・シネマ・パラダイス』は、日本においては1989年12月、僅か200席あまりの銀座の映画館で上映されました。実は、本作にとって今年2014年が日本上映25周年の記念の年にあたるのです。単館上映で40週に渡り約27万人を動員したという興行成績と動員数は、いまだに破られていないと言われています。
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ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo Cinema Paradiso(日本公開1989年)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ他
1990年アカデミー賞最優秀外国映画賞受賞、1989年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
1990年ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞受賞、1989年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞最優秀音楽賞受賞
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■映画のあらすじ
ローマに住む映画監督、サルヴァトーレは、ある日、故郷シチリアの母からアルフレードの訃報を知らされます。アルフレードは青年時代までを過ごしたシチリアの小さな村、ジャンカルド村にある映画館の映写技師で、サルヴァトーレは映画を通じて、アルフレードとの交流を通じて人生を学び、映画への愛を育んでいったのでした。
 戦争で父親をなくし、母と妹と暮らす少年時代のサルヴァトーレ(愛称トト)は映画が大好きで、母親の目を盗んでは映画館「パラダイス座」に通い続けていました。何度も映写室に潜り込もうとするたびに映写技師のアルフレードに追い返されるトト。しかし、次第に二人の間には友情が芽生え、それは師弟関係を超えて親子の愛情にも似たものへと変化していきます。やがてトトはあることがきっかけでアルフレードに映画技師となり、パラダイス座と家計を支える存在となります。若者となったトトはムービーカメラを手に入れ、自ら映画を撮影するようになり、そして初恋も経験。やがてローマでの兵役を経て村に戻ると、パラダイス村には別の技師が仕事をしており、初恋の女性エレナとも音信不通で自らの居場所に悩むトトに、アルフレードが助言し、新たな道への出発を促すのです。そして30年後、初老となったトトは著名な映画監督として活躍し、アルフレードの葬儀のためにジャンカルド村に再び戻ってきたのですが・・・。
 ※なお、この映画には当初イタリアで公開されたオリジナル版と国際上映向けの「劇場公開版」、さらにはディレクターズカット版としての「完全版」の三つが存在します。「劇場公開版」と「完全版」とでは、それぞれの映画で綴られる物語の中心が異なることから、映画ファンの議論を呼びました。まだご覧になられていない方から私自身はどうかと問われましたら、劇場公開版のDVDを見てから完全版をご覧になることをお勧めします。

■俳優陣、監督ジュゼッペ・トルナトーレ、エンニオ・モリコーネの音楽について
 主人公トトの少年時代を演じた少年、サルヴァトーレ・カシオはロケ地となったシチリア島にあるパラッツォ・アドリアーノ村出身。この映画の舞台となった架空の村、ジャンカルド村は、パラッツォ・アドリアーノを中心に撮影されました。この村は州都パレルモからバスで約2時間程内陸に行ったところに位置します。初老のトトを演じたのは、フランスの名優ジャック・ペラン。近年では映画『WATARIDORI』のプロデュースも手掛けたことでも知られています。老映画技師のアルフレードは、前回ご紹介した『イル・ポスティーノ』でチリ出身の詩人パブロ・ネルーダを演じたフランスが誇る名優で惜しくも2006年にこの世を去ったフィリップ・ノワレです。父親を戦争で亡くしたトトに時に厳しくも愛情たっぷりに接するノワレ演じるアルフレードが、私はとても大好きでした。

 監督のジュゼッペ・トルナトーレはシチリアのバゲリア出身、イタリア屈指の名監督の一人に数えられています。この『ニュー・シネマ・パラダイス』が長編2作目にして世界的大ヒットとなりました。本作をはじめ、『みんな元気』(Stanno tutti bene)、『明日を夢見て』(L'uomo delle stelle)、『マレーナ』(Malena)、さらに出身地バゲリアを舞台に50年に渡る親子三代のドラマを描いた『シチリア!シチリア!』(Baarìa)など故郷シチリアを舞台にした映画を世に送り出しています。

 音楽は、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネです。1928年ローマで生まれたモリコーネは6歳にして初めて作曲を手掛け、神童ぶりを発揮。10歳でローマのサンタ・チェチーリア音楽院に入学し、60年代初頭に映画音楽の作曲家としてデビューしました。イタリアのセルジオ・レオーネとの『荒野の用心棒』に代表される一連のマカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)作品、同監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(Once Upon a Time in America)、アメリカのブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』(Untuchable;1987年グラミー賞受賞)その他本作をきっかけにトルナトーレ作品では欠かせない作曲家となりました。そのゴールデン・コンビは、昨年日本でも公開された同監督の最新作『鑑定士と顔のない依頼人』(The Best Offer/原題:La migliore offerta)においても健在です。
 心揺さぶるストリングスのスコアに書かれたノスタルジックで甘美なメロディとサウンドには、人生の儚さ、哀しみというスパイスがさりげなく効いているからでしょうか。彼の音楽は、長きに渡り今なお色褪せることなく世界中の多くの映画ファン、音楽ファンの心を捉えて離しません。
Morricone.JPGphoto by mamitalia

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 本日の写真は、『ニュー・シネマ・パラダイス』のロケ地の一つである、チェファルという町で撮影したものです。昨年(2013年)9月、夏休みを利用してパレルモに滞在した折に、かの地を訪ねました。(パレルモから電車でチェファルに向かう途中に、トルナトーレ監督の出身地バゲリアがあり、ここで『シチリア!シチリア!』の撮影も行われました。)
Cefalù 2013 - photo by mamitalia
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 チェファルでは、青年になったトトが海辺の街で映画を野外上映するシーン、アルフレードがトトに対して「人生はお前が見た映画とは違う。人生はもっと困難なものだ。行け。ローマに行け。お前は若い。前途洋洋だ。私は年寄りだ。もうお前とは話したくない。お前の噂を聞きたい。」と諭すシーン‐トトの青年から大人への旅立ちを象徴するシーンが撮影されました。自らと同じ映画技師の道を歩むのではなく、映画監督への道を歩むように背中を押すアルフレード。愛情たっぷりにトトに力強く語った言葉の数々は私自身の人生にも影響を与えたような気がします。

 今回掲載した写真は、海辺での映画上映のシーンが撮影された場所です。映画をご覧になった方はきっとこの場所に見覚えがおありかも?しれません。

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 このコンサートがきっかけで、映画や映画音楽に興味を持ってくださる方が一人でも増えるといいなあと思う今日この頃です。コンサートにどうぞご期待ください。
※今年4月に行われた、鈴木大介さんのインタビューの映像をあわせてご覧ください。http://mitaka.jpn.org/ticket/1409270/#movie

三鷹市芸術文化センター
風のホール

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