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鈴木大介 ギター・リサイタル "映画名曲コンサート" 関連コラム

第1回:イル・ポスティーノ

2014年8月10日風のホール音楽・ホール担当(mamitalia)

残暑お見舞い申し上げます。

こんにちは、音楽担当のmamitaliaです。皆様夏休みはいかがお過ごしでしょうか。
暦の上ではもう秋なのですが、例年通りだと蒸し暑さは9月まで続くわけですよね・・・・・・。これから夏本番という時期でもありますが、私は早々に先月上旬に夏休みを取得してしまったので、残暑と肌にまとわりつく湿気にどう対処していくのかが目下最大の課題となっています。

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 ところで、唐突ではありますが本日より夏休み特別企画(!?)ということで、(不定期ではありますが)きたる9月27日(土)に開催される「鈴木大介ギター・リサイタル"映画名曲コンサート"」関連コラムをお送りすることといたしました。
 先日、鈴木大介さんより演奏曲目決定のお知らせをいただきましたので、当日演奏予定のもの全てをホームページにてご覧いただけるようになっております。9/27(土) 鈴木大介ギター・リサイタル
 映画好きの大介さんこだわりの珠玉の名曲が集められており、これまで5枚リリースされているCDの人気シリーズ「キネマ楽園」や6月リリースのCD「伊福部昭を弾く」収録曲などが盛り込まれた、贅沢なプログラムになっています。これは聴き逃せません!!!

  今夏の音楽部門のVOICEにおきましては、このプログラムの中からいくつかの曲をピックアップし、その映画にまつわる話について綴っていきます。おつきあいの程どうぞよろしくお願いいたします。

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イル・ポスティーノ(1994年)
監督:マイケル・ラドフォード
出演:マッシモ・トロイージ、フィリップ・ノワレ、マリア・ツラツィア・クチノッタ他
1995年第98回アカデミー賞オリジナル作曲賞(ドラマ部門)受賞/主演男優賞、監督賞、脚本・脚色賞、作曲賞ノミネート
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■映画について
 この映画の舞台は南イタリアのナポリの沖合の島にある架空の小さな漁村です。漁業を営む父から漁師になることを勧められるもそれを拒絶し、郵便配達の仕事に勤しむ青年マリオと祖国チリを追われてこの島に滞在することになった詩人、パブロ・ネルーダとの心の交流を描いた映画です。詩人との出会いをきっかけにして、マリオの溢れんばかりの思が言葉、そして詩となり、愛する女性と巡りあい家庭を築き、やがて共産主義傾倒して政治の世界に身を投じ、時代の大きなうねりの中に巻き込まれていく―市井に生きる一人の男性の人生が、静かに淡々としたタッチで描かれていきます。それまで単調だった島での日常が詩人との交流を通じて学んだ「隠喩」の手法を通じて、マリオにとって新たな意味を持って眼前に現れる瞬間、瞬間が見ていてとても愛おしく思える映画です。

■俳優、音楽について
 ちなみに、この映画は1950年代に実在の詩人パブロ・ネルーダ(1904~73)が、祖国チリを追われて南イタリアはナポリのカプリ島に一時期身を寄せていた史実を織り交ぜながら描かれています。(撮影は同じナポリ湾に浮かぶサリーナ島、プローチダ島で行われたそうです。)主人公を演じたマッシモ・トロイージは、クランクアップの12時間後に持病の心臓病がもとで41歳の若さでこの世を去りました。また、ネルーダには1960年の映画『地下鉄のザジ』で注目され、フランスのセザール賞(フランスにおける著名な映画賞)を二度受賞、日本でも御馴染みの『ニューシネマ・パラダイス』で映写技師アルフレード役を演じたフランスの名優フィリップ・ノワレ(1930~2006)が演じました。
 この映画の音楽を担当したのは、一連のマカロニ・ウェスタン(イタリア製西部劇の和製英語。主人公を演じた俳優にはジュリアーノ・ジェンマ、クリント・イーストウッドらがいます。)のサウンド・トラックでも有名なアルゼンチン出身の作曲家、ルイス・エンリケ・バカロフです。メインタイトルのメロディラインは、彼の母国を彷彿とさせるバンドネオンで、島を優しく見守る青空に向かって主人公が呟くように、囁くように奏でられます。

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 鈴木大介さんが弾く『イル・ポスティーノ』のメインタイトルは、「キネマ楽園」シリーズ第1作目(2007年8月リリース)に収録されています。じっと目を閉じて聴いていると、島を離れた詩人パブロのために、島中の「美しいもの」―打ち寄せる波、岩壁の風、草原にそよぐ風を録音して回った主人公マリオが、あふれんばかりの思いを自分自身の言葉で丁寧に語る姿がオーバーラップします。

 陽光降り注ぐ青空のもと(静かな海辺であれば完璧です!?)、キリリと冷えた南イタリアのレモンのリキュール、リモンチェッロのグラスを傾けながら聴きたい1曲です。


≪編集後記≫
 マッシモ・トロイージは日本で公開された映画の本数は数本と少ないですが、母国イタリアではとても人気のある俳優の一人でした。この映画ももちろんですが、個人的にお勧めの映画がもう一つあります。マルチェロ・マストロヤンニと親子を演じた映画『BARに灯ともる頃』(1989年エットーレ・スコラ監督/原題"Che ora è ?")です。名優二人のダブル主演のこの映画もぜひ夏休みにご覧いただければ...と思います。

 bar_1.jpgこちらは、イタリアのティレニア海沿岸にあるチヴィタヴェッキアという港町を舞台に物語が展開します。展開する、とはいっても、映画の主軸となっているのは年老いた父親と息子との会話なのですが・・・。マルチェロ・マストロヤンニ扮するローマに住む裕福な初老の弁護士が、兵役中の一人息子(マッシモ・トロイージ)に会うために小さな港町を訪れます。父親は仕事に追われロクに話すこともなかった息子に、"お前と二人だけで話がしたかった"と言い、新車にローマの家までプレゼントすると言い出します。父は息子を愛し、息子は父を気遣っていますが、父親は自らが描く理想の人生を息子に押し付けようと意見し、自分の知らない息子の姿と振る舞いを目にするごとに不安や嫉妬の気持ちが沸き起こり、次第に気まずくなっていくのです。しかし、最後のプレゼントとして父親が差し出したもの―亡き祖父の形見の時計をきっかけに二人の頑なな心は・・・・・・。続きはどうぞ、映画本編をご覧ください。

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第2回は「ニュー・シネマ・パラダイス」を予定しています。
59649_166218460057753_1576671_n.jpg Napoli /photo by mamitalia 14 aprile 2010


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