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『エル・タンゴ』の世界観を堪能するために-ボルヘスのことなど。。。

【その1】

2012年9月 1日風のホール音楽・ホール担当(mamitalia)

音楽担当mamitaliaです。
9月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日の三鷹は、激しい雨が降ったかと思うとお日様が顔を覗かせるという繰り返し。
こどもの頃は9月になると運動会の秋、食欲の秋到来というイメージがありましたが、
昨今の9月はまだまだ夏の真っただ中ですよね。
毎朝毎晩、空を見上げながら涼しい秋の訪れを待つばかりの今日この頃です。

※※※※※

閑話休題。

当財団では、ピアソラの「エル・タンゴ」の魅力をよりいっそう堪能していただこう!
ということで、先月28日(火)にバンドネオン奏者の小松亮太さん、東京大学大学院教授の
野谷文昭先生をお迎えしてプレトークを行いました。

蒸し暑い日が続く中、ご来場いただきましたお客様に、
この場におきましても厚く御礼申し上げます。


当日は、
■El Tangoが作曲された1960年代のブエノスアイレス
■ボルヘスという作家の人となり、El Tangoの世界観
■20世紀初頭のタンゴ
■El hombre de la esquina rosada(映画)
■El Tangoの音楽について     etc.
といったトピックを中心に展開されました。

今回は「エル・タンゴ」の世界をよりよく知るために、
文学の見地からのお話もぜひ伺いたい、ということで
ボルヘスの作品も翻訳なさっている野谷先生にご出演いただきました。

---

アルバム「エル・タンゴ」がリリースされた1965年は、今から47年前です。
プレトーク中に流れたYoutubeのカラー映像がそう実感させました。
決して大昔の音楽ではない、私達にとっても近しい音楽であると実感したのは、
Youtubeにアップされていたある映像をプれトークで拝見したからでもありました。
投稿者の祖父母が1960年にアルゼンチン旅行した際に撮影したという映像だそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=e8XnailkU5E


イタリア、スペインを主とする南欧、東欧からの多くの移民と原住民で成り立った国、
アルゼンチン。19世紀以前の移民は格調の高いエリート階級中心、それ以降の移民は、
都会化し豊かになったアルゼンチンに一攫千金を夢見てやってきた人々であることから、
前者は「旧移民」、後者は「新移民」というように区別されているというお話がありました。

旧移民の流れを汲むボルヘスは、ヨーロピアンの末裔としてのプライドを持っていました。
父は弁護士、母はウルグアイの旧家の出身。家庭内では英語とスペイン語の二か国語が
ごく普通に使われており、母も祖母も読書好き、無類の読書家である父は多数の蔵書を
抱えていた・・・そのような環境で、ボルヘス少年は文学作品に傾倒していきました。

彼は内気な「お坊ちゃま」で、両親が家にミュージシャンを呼んで演奏させていたことは
あったようですが、彼自身、当時は場末の音楽と捉えられていたタンゴを現場で聴いた
ことはありませんでした。野谷先生によれば、ボルヘスはタンゴよりもブルーズが好きで、
ブルーズの音楽よりもむしろその歌詞が好きだったそうです。ボルヘスは、アストル・ピ
アソラの音楽をタンゴではないと断じたうえに、タンゴとは何かを講釈したと伝えられて
います。

野谷先生が仰るように"現場体験のなかった"ボルヘス。彼の頭の中にあった「タンゴ」は、
恐らくは彼独特の妄想の世界の中のタンゴであり、ピアソラの考えるそれとは相いれない
ものだったのだろうなとトークを聴きながらそう感じました。
ボルヘスとタンゴの共通点として先生が挙げられていたのが、ともに「パリで評価されたこ
と」というのも興味深かったです。

(つづく)

三鷹市芸術文化センター
風のホール

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