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企画展示「太宰治の全集創作」がはじまりました

2016年6月10日太宰治文学サロン文芸担当(倉持)

 戦後、「斜陽」で一躍流行作家に躍り出た太宰治は、次々と大作を書き上げ旺盛な作家生活を送る反面、心身は極限を迎えていました。体調が悪化する中で、太宰が奮励した仕事は自身の全集創作でした。
 昭和23(1948)年4月20日に八雲書店より第1回配本が開始された『太宰治全集』。出版社からの申し入れとはいえ、在世中に個人全集を世に送り出すことは珍しい当時にあって、八雲書店版は太宰の生前に刊行が始まった唯一の全集です。
 太宰は自ら積極的に校訂・編集に携わり、目次、創作年表、口絵写真、装幀にまで編集担当の亀島貞夫に細かな指示を出しています。表紙は、A5判白地固表紙カバー装に生家の鶴丸定紋を型押しするよう要望し、口絵用に生家や一族の写真を故郷から取り寄せました。また、金で箔押しされた題字は、太宰が全集のために揮毫したもので、全集にかける強いこだわりが感じられます。

 太宰が亡くなる4ヶ月ほど前、昭和23年2月に八雲書店版『太宰治全集』口絵のため、写真家・田村茂と三鷹で撮影が行われました。この時撮られた写真(全27枚)は、二重回しを羽織って三鷹の駅前や陸橋を闊歩する姿、玉川上水にたたずむ姿、本屋で書物を手に取る姿、飲み屋で酒を呑む姿など、いずれも広く親しまれています。この内、3枚の写真が全集の口絵に使用されました。第2巻「虚構の彷徨」には、本屋で書物を手に取る姿と頬杖をついた姿、第13巻「ヴィヨンの妻」には、飲み屋で酒を呑む姿が掲載されています。
 太宰が何巻まで編集に携わったかは定かではありませんが、太宰は三鷹で撮影した肖像写真について「こちらで写したいろいろの写真は、なかなか美男子にうつつてゐるといふ評判です。」(津島賢輔宛 昭和23年3月4日付)と書簡に記しています。三鷹で撮影された肖像写真は、〈無頼派〉の風貌を今日の読者にも強烈に印象付けています。

 本展では、八雲書店版『太宰治全集』全巻を一堂に展示するほか、全集創作の過程が見て取れる「全集目次案」の複写(日本近代文学館蔵)などの貴重な資料をご覧いただけます。

太宰治文学サロン

〒181-0013
東京都三鷹市下連雀3-16-14
グランジャルダン三鷹1階
☎・Fax0422-26-9150
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