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[チケット発売中]
 2006年11月26日(日) 2回公演 昼の部13:00/夜の部16:30開演
 【全席指定】 会員=6,300円 一般=7,000円
未就学児の入場はご遠慮下さい
【公演名】 松竹大歌舞伎
【番 組】 一、歌舞伎噺 楽しい歌舞伎への誘い 一幕 (松本幸四郎 監修)
二、吉原雀 長唄囃子連中
三、勧進帳 長唄囃子連中 (歌舞伎十八番の内)
【歌舞伎噺】 ご案内:錦 弥
【吉原雀】 鳥売りの男:信二郎  鳥売りの女:高麗蔵
【勧進帳】 武蔵坊弁慶:幸四郎  源義経:高麗蔵
亀井六郎:亀三郎  片岡八郎:亀 寿
駿河次郎:宗之助  常陸坊海尊:錦 吾  富樫左衛門:信二郎
〜第一幕は松本幸四郎監修による「歌舞伎噺」〜
これは、案内役が、歌舞伎という演劇の歴史を当時の人物を登場させながらわかりやすく紹介するものです。歌舞伎を特徴付けるさまざまな要素、荒事と和事、歌舞伎十八番、歌舞伎舞踊、歌舞伎音楽といったものを実演を交えてご説明します。さらに、お客様にも舞台にあがっていただき、立ち廻りなどを体験していただくコーナーもございます。
歌舞伎の醍醐味を心ゆくまでお楽しみください。
Koshiro Matsumoto Interview
松本幸四郎
一回一回を大切に、会心の演技を目指したい
歌舞伎のみならず『ラ・マンチャの男』や『アマデウス』などのミュージカルもライフワークとし、テレビドラマなどでも活躍を見せ、今や日本を代表するマルチ俳優である、九代目松本幸四郎さん。
三鷹では5年ぶりの登場となる幸四郎さんに、今回の『勧進帳』公演への想いを語っていただきました。
今回、全国を回ることになりますが、巡回公演のいいところは、街を歩いていたら「幸四郎さん、松たか子さんはいいね」とか「おじいさん(七代目幸四郎)やお父さん(白鸚)の弁慶を見たよ」とか声を掛けてくださったり…普段ではちょっと考えられないことですよね。また、その土地の方とお会いして、色々とお話できるのが楽しみです。一昨年には中越地震の後に訪れた新潟で、皆さんが食い入るように舞台をご覧になって下さって…大変な状況下で逆に「元気でね」と声を掛けていただいたりして、感無量でした。「人様に勇気や感動を与えることが俳優の仕事」だと改めてかみしめることができました。
──上演される『勧進帳』は歌舞伎の代表的な人気演目のひとつ。弁慶役は祖父の七代目幸四郎が1,600回も演じ、父白鸚の当たり役でもあった“お家の芸”。当代幸四郎さんにとっても、800回以上を演じてきた思い入れの深い作品です。
これだけ歌舞伎の色々なエッセンスをたくさん持っている演目は他にはない。長唄の曲も詞も素晴らしい。でもここまで人気演目になったのは、祖父の全国行脚という努力によるところも大きいと思います。『勧進帳』による全国巡演は祖父の足跡をたどる旅でもありますね。主君の義経を守りながらみちのくを逃れて行く弁慶と、彼の姿に打たれて武士の情けをかける富樫…1時間10分ほどの短い上演時間にこめられたヒューマンドラマは、男性・女性を問わずに楽しんでいただけるのではないでしょうか。
──三鷹の公演は通算904回及び905回目となり、通算1000回公演への期待も高まります。
そう言っていただけるのはうれしいし、俳優としての励みとなります。ここまでやってこられたことは僕にとっての小さな誇りです。でも僕が心に念じているのは「役者にとっては何百回目でも、今日初めて舞台をご覧になるお客様もいる。一回一回を大切に、会心の演技を目指さなければ」ということです。これは祖父の代からの教えでもあるんです。
──「勧進帳」で幸四郎さん扮する弁慶は主君と共に落ち延びます。一方ミュージカルの代表作『ラ・マンチャの男』も遍歴の騎士の物語。共に“旅”がキーワードです。
歌舞伎座を離れて全国巡演していると、より弁慶の心情がリアルに迫ってきます。槍を持ち遍歴の旅をするドン・キホーテ。弁慶は金剛杖を持って主人を守りながらみちのくへ落ち延びる…。二つの作品をやるたびに、「人生も旅なのかな」との思いがよぎります。16歳から演じている『勧進帳』、ブロードウェイミュージカルの『ラ・マンチャの男』この二つをやりながら、人生の旅を歩いているような気がします。
その16歳での初演から60歳を越えた現在に至る間に、演じる弁慶が変わってきている部分はあると思います。具体的にどこがどうとは言えませんが、長い人生を生きてきた思いが、せりふや所作ににじみ出て来るような気がします。文字も楷書から書き始めて、次第にかすれやにじみと称して味わい深くなりますが、それと同じようなものですね。ただの熱演、力演だけではなく、ご覧になった方がご自身の人生に照らして何かを感じてくださるような弁慶になれば、と思っています。歌舞伎は古典ですが“高尚”になってはいけないと思います。埃をかぶった博物館の飾り物ではない、“生きた歌舞伎”をお見せしたい。気力と体力の続く限り、いい『勧進帳』をお見せしたいと念じています。

公益財団法人 三鷹市芸術文化振興財団