── 幼少の頃からと伺っていますが、ギターは何歳頃から、どのように始めましたか? |
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物心つく頃にはギターを手にしていました。何かきっかけがあったというよりは、気がついたときには弾いていたという感じです。父がギターの教師で、姉もギターを弾いていた環境の中にいたので、何の疑いもなくギターを弾いていました(笑)。 |
── ご実家は浅草周辺だそうですが、下町の思い出は何かありますか? |
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僕がまだ3歳か4歳の頃、近所に相撲部屋があって、相撲好きの叔母に連れられてたまに稽古を見に行っていました。とある有名力士がいたんですが、僕はその大きさが怖くて仕方なかったようで、稽古を終えて外に出てきた力士の姿を見るだけで泣いていたらしいです。(全然いい思い出じゃない…笑。) |
── これまでの拝見すると、“挫折”ということはないと思いますが、これまでに苦しかったことは何でしょうか? |
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まだまだ挫折できるところにまで達していません。本当に苦しんだことはまだ無いと思うんですが、強いて言えば、ギターを始めたキッカケが自分の中になかったので、高校の時くらいからギタリストとしてやっていく事に自覚を持つようになるまでは、音楽をそれ程楽しめていなかったかもしれません。 |
── アメリカに渡られて7年、ご自身が“変わった”と思うことはどんなことでしょうか? |
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ギターに対する向き合い方が変わったかもしれません。将来プロのギタリストになる、ということは小さい頃から無意識のうちに感じていたと思いますが、自分の意志でギターを始めた訳ではなかったので、なかなかプロになるというハッキリとした自覚は持てませんでした。留学をして家族と離れて暮らすようになり、練習してもしなくても褒められも叱られもしない一人の環境に移って、徐々にギターと真剣に向き合えるようになっていったと思います。 |
── ご姉弟でご活躍されており、お姉様の村治佳織さんはパリへ留学されました。お姉さんと奏一さんの音楽的な違いについては、ご自身では何か感じることはありますか? |
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姉とは日本で師事していた先生や留学先、レパートリーなど多くの点で幸いなことにを環境が異なっていたので、その影響は大きかったと思います。最近では僕が夏休みで日本に帰ると、お互い学んだことを教えあったりもしています。昔はケンカの火種になることもありましたが(苦笑)。 |
── ニューヨークでの音大生活はご多忙だと存じますが、ギター以外に今、好きなこと(もの)、または興味があることは何かありますか? |
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読書、映画鑑賞、旅行・・・したいことはいっぱいあるんですが・・・。 学業とCD制作の両立がなかなか大変で思うようにまだNYを満喫できていません(苦笑)。 |
── 風のホールは2回目のご出演ですが、どんな印象をお持ちですか? |
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ギターの音に適した響き方をしてくれるホールは多くあると思うんですが、風のホールは更にその響きやオーディアンス、ホール全体と一体になりやすい、貴重なホールの一つだと思います。 |
── 今回のコンサートは6月の新譜CDからがメインになるそうですが、聴き所をご紹介していただけますか? |
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前半は19世紀音楽の中心にあるソルの作品をメインにし、また後半は4thアルバムの新譜から、ラテン音楽、ジャズのスタンダードナンバー、フランスのシャンソンまで様々なサウンドを集約したプログラムとなっています。ニューヨークの真っ只中、マンハッタンに住み勉強している中で影響を受けたギターの持つ多様な響きと共に、様々な文化で生まれた美しい旋律をお楽しみください。 |