柳瀬 正夢 展
− 反骨の精神と時代を見つめる眼 −
3月2日(火)〜3月28日(日)
開館時間:10:00−20:00(入館は19:30まで)
休館日:月曜日(3月22日は開館)
    3月23日(火)
会 場:三鷹市美術ギャラリ−
観覧料:会員240円、 大人300円、学生150円
    小学生以下、65歳以上、障害者は無料。
    20名以上の団体は2割引き。
主 催:三鷹市美術ギャラリ−、柳瀬正夢研究会
後 援:読売新聞社
 1945年5月25日東京を焼きはらい多くの犠牲者をだした大空襲は、夜行列車にのるために新宿駅に居合わせた一人の画家の生命も奪いました。
 画家の名は柳瀬正夢。彼がのこした膨大な作品とそれらの変遷は、明治から昭和にかけての激動の時代を駆け抜けるように生きた彼の軌跡そのものでもあります。1900年に生まれ15歳で院展に入選した柳瀬は、早熟の天才画家として世に出ました。多感な時期を竹下夢二や西欧の美術運動に影響された柳瀬は、やがて前衛美術集団〈マヴォ〉結成に参加し、大正アヴァンギャルドの旗手として注目されます。また一方で雑誌編集や新聞社の挿絵を手がけ、自らも政治運動に身を投じてゆきます。
 さらに昭和に入ってからの政治漫画の執筆およびプロレタリア美術における彼の活動は、常に時代の先端に位置するものでありました。1930年代後半からは、写真撮影を通して大陸での庶民の生活を紹介するとともに、自らの出発点に回帰するがごとく昭和を境に遠ざかっていた洋画の制作を再開します。最後期は三鷹市牟礼に自宅とアトリエをもち、没するまでの二年間をその地で過ごしました。柳瀬の活動は、絵画のほかにグラフィックの分野をはじめ舞台装飾、漫画、写真など多岐にわたり、なかでも装丁、ポスタ−等のデザインは大胆かつ明快な表現により、いまなお新鮮な魅力を持ち得ています。
 今回の展覧会は、柳瀬の最後期の活動を中心に、絵画、グラフィック、漫画風刺画、写真などの分野別に構成されています。これらの作品を通じて、柳瀬正夢がもち続けた時代に対する厳しい眼差しを追体験してみてはいかがでしょうか。
《五万の読者と手を握れ》(1927)水彩/紙
《河と降る光と》(1915)油彩/カンヴァス
《底の復報》
《裸婦》
《戦旗》(1930)水彩/紙
《東郊 東便門の外》