「生きる」ことと「作る」ことが、ここではひとつになっています。もっとも長い豊福知徳、宮島春樹で38年、もっとも短い渡辺泰男でも27年。未だ完成されざる精神と肉体をもって西欧文化の長い伝統が息づくイタリアに渡って以来、彼らはまさにそこに生き、そこで作ってきたのです。異文化とのセッション、そして独自性の開花。それぞれの個性がそれぞれのフィールドで育んだ創造の場は絶対的な自信と不安に溢れ、安直な肯定や否定を寄せつけません。ただ、そこに生まれた一点、一点の作品は、生きることと作ることがひとつであると、望むと望まざるとにかかわらずひとつであったと、見る者に熱く語りかけてきます。脳細胞の肥満した現代美術に溺れかけているとすれば、それは厳しい問いかけとなって返ってくるかもしれません。しかしそれにしても、なんと爽やかな問いかけなんでしょう。 |
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本展覧会は長年イタリアで制作活動を行ってきた、7人の芸術家の展覧会です。 会場には絵画作品、 彫刻作品の他に、アニメーションフィルムの上映、 建築作品のデッサンや模型、 景観デザインの自筆図面・写真パネル、また椅子や照明・テーブルなどの家具まで約100点が展示されています。これらの全く異なるジャンルで活躍する作家達は、別々の想いで異国へ渡り、創り続けてきたのかもしれません。しかし、作品から感じられる色・光・風・流れなどからは、この土地の持つ明るさ、ダイナミックさ、洗練などが共通項として浮かび上がってきます。「個」を大切にし「生活」を楽しむ、自由な国、イタリアの空気を感じてください。 |